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ハグプリ、最終回大号泣しました…
非常にいい作品だったと思います。
プリキュアはアニメが1クールものばかりになった現在、一年やりきる珍しいアニメです。あとはテレ東のドアサくらいです。
オリジナルアニメですから展開もよめない。いろいろ考えながら見ることができる。
これが素晴らしいと一年楽しいですが、そうでないと最悪です。
今回は15周年ということで演出などにどれみなど少女アニメを手掛けたら日本一、いや世界一と言って差し支えない佐藤順一氏、脚本に「フラジャイル」などの坪田文氏。そしてキャラクターデザインは美しいプリキュアが描ける川村敏江氏など素晴らしいスタッフがそろっていました。
とくに坪田さん、この一年のほとんどを手掛けています。これはプリキュアの歴史でも初めてではないかと思います。キラプリではゆかり回を担当していたので信頼はしていました。
これでハズレなわけ、ないじゃないですか。
思った通り、見事走り切りました。
キャラクターはシンプルなようで個性が光る。
まず主人公のはな。
最初は単に「イケてるお姉さんになりたい!」と言ってるだけの元気系の子かと思いきや、前の学校で友達をかばってクラス全員から無視されるといういじめを受けていました。
お母さんがそれに気づいて引っ越しまでしてはなを守ったのです。
ただもともとは正義感が強く芯の強い子です。
友達ができていくことで新しい環境に根付き、育っていったんだなと一年を振り返って思います。
クラス委員長のさあや。
母親が大女優で昔は名子役だったのですが、人前で演技するのが怖くなり芸能界を退いていました。
「あなたにできないことがわたしにできる、わたしにできないことがあなたにできる」マザーテレサの名言をもとに行動している子ではなの事をまるごと受け止めてくれた。
最初の友達でよかったなと思います。
おもしろかったのはそこから産婦人科医の先生と出会い、進路を切り替えてしまったこと。
それを母親に打ち明ける回は「自立」そのものを描いていたと思います。
スケート選手だったほまれ。
小学生の時は何度も優勝し未来を嘱望されていましたが怪我をきっかけに飛べなくなってしまいます。最初はあまり学校に来ない「不良」としてクラスで認識されていました。
ですがプリキュアになったことで立ち上がりまたスケートを始め、後半では大会で優勝できるようになります。
それから、ハリーへのほのかな初恋と見事な玉砕。同じように思いを寄せるビシンとの闘い。いつもシビアなところに立っていた気がします。
失敗と成功を繰り返すほまれは強い子です。
敵側のアンドロイド・ルールー。
プリキュアたちをかく乱するためはなと同居をし始めますが、はなたちと一緒にいるうちに愛する心を知ります。
アンドロイドをいつわった人間なのかなと思ったし、プリキュアになるときは人間体に変わるのかなとも思いましたがルールーはアンドロイドのままプリキュアになっています。
えみると出会い、さらに愛する気持ちを深め、二人で歌を歌うように。
小学生のえみる。
初登場回が「つなぎ回」に見えたので単なるサブキャラかと思ったのですが、再び登場するとお嬢様なのにロックが好きという結構強い個性を出してきます。
私は今まで出てきた「小学生プリキュア」が好きではなく、えみるに関してもかなり警戒していたのですが、生意気な部分が全くなくルールーとの信頼関係を大切にしているいい子でとても好きになりました。
彼女の置かれている境遇も大変でしたね。両親はそんなでもなかったのですが祖父と兄が凝り固まった観念を持っていて、えみるを縛り付けていました。
そしてお兄さんは…
いじめられていてもアンドロイドでも、小学生でもプリキュアになれる。ところが今回の「プリキュア」という概念はもっと大きい。
ほまれのスケート仲間・アンリは男の子だけどユニセックスな感覚の持ち主。えみるの兄にはさんざんバカにされたりしますが、自分らしさを貫いた。
元々脚に爆弾を抱えていましたが事故で彼は絶望します。それでも輝こうとして、ついに「キュアアンフィニ」になるのです。
この時の世間の反応はすごかったですね。去年もピカリオがそれっぽいものにはなっていたのですがプリキュアとしての名前はありませんでした。初めての男の子プリキュアです。
ところが、ハグプリでは最終的に老若男女誰でもプリキュアになってしまいます。「男の子プリキュア」とか、そういう小さなくくりですらなかったんですよね。
「なんでもなれる、なりたい私になる」がハグプリのテーマです。
未来からやってきたはぐたんという赤ちゃんを「みんなで」育てながら、プリキュアたちはそれぞれの夢にぶつかっていくのです。
夢を変えるさあや、夢を取り戻したほまれ、夢を抱いていいと気づいたルールー、夢をつかみ取るえみる。
そして、それを応援するはな。
さて敵のクライアス社は人間が発するネガティブな感情の象徴「トゲパワワ」を増やしてオシマイダーを作り、世界の時間を止めようとしています。
ブラック企業の社員として働く彼らは功績をあげようと焦りますが、追い詰められてオシマイダー化してしまう。ところがプリキュアたちに浄化され、その後ははなたちと一緒に生活をしていきます。
彼らは単に転職をしただけ。
誰一人消えることがなかったんですよね。
そしてクライアス社社長ジョージ・クライ。
彼の目的は…はなを守ることだったのです。
はなは未来で人々のあふれるトゲパワワを抑えることができず、壊れてしまったようです。はなを愛したジョージはその未来を止めるためにこちらの時間にやってきた。
でもそれは、「守られること」ははなの望んでいることではない。
たとえつらい未来が待っていても受け入れて変えていく。
「赤ちゃん(未来)は、みんなで育てるの!」
おそらくはなの壊れた未来では、はなは一人でどうにかしようとしていたのではないでしょうか?
未来は、もう切り替わっていたのです。
ハグプリを視聴していた人の中では「たかがプリキュアなのに脚本が鼻につく」という意見が見受けられました。
最近出てきたポリティカル・コレクトネスの要素が強いとは思います。子供のアニメとして、気軽に見たい人もいるでしょう。女の子がか
いく変身してかわいく戦えばいいと思っている人もいる。
でもプリキュアは「女の子だって暴れたい」から始まったアニメです。そこから15年、いろいろな道を模索して今回、「誰の個性も侵害しない」というお話になっているのです。
もちろん、かわいいものが好きな女の子は十分に肯定し、しかし「私はこれが好き」「私はこれになりたい」ということは否定しない。男の子の視聴者だっている。プリキュアになりたい男の子もいる。それも否定しない。
(夫婦関係とワンオペ育児についてもかなり突っ込んだ描き方をしてますよね)
脚本はメッセージ性が強かった。そういうモロだしが好みでない人もいるかもしれない。ただ、私はフワフワしているものよりこういう骨太なものをあえて出すところが好きでした。
プリキュアを子供の時に視聴して、その時はなんだかわからないかもしれない。
でも時間をおいてから「ああ、あれはそういう意味だったんだ」と気づく。
初代プリキュアを見ていた子供も今はもう成人しています。プリキュアを好きなままですよね。
子供は意外とわかっているものなんです。
画面作り、戦闘シーン、見た目にもとても鮮やかでよく動きますし、演出も見事でした。とくにキュアエールはパンチが強いわ鉄骨持って暴れるわ、「この子ゴリラかな?」と思いましたが、一方で人を切り刻む剣を選ばなかった。音楽も緊迫した画面にマッチするものが多かったですね。
見事なプリキュアなんですが「好き」という度合いでいうとどうしてもハトプリ・スマプリ・GOプリが少しだけ勝ちますね(自分の中ではっきりした推しがいなかった…)。
えみるが出てきたあたりから学校での生活シーンがなくなってしまったこと、一人一人の個性は強いけど実はメンバーの関係がどうなのかよくわからないこと(えみる&ルールーと初期三人は少々温度差がある)は欠点だなと思います(いや…?お互い気に入らないことは多少あったかもしれないけど、そこに突っ込むのは思春期によくあるべたべたした関係になると考えたのかもしれない)。
あと、どうしてもえみる初登場回がひどくて忘れられません(坪田さんの脚本ではないが、なんでああなった)。
いや、めっちゃ面白かったですけどね!言葉の端々、画面の端々から細かい物を感じ取ることができるアニメ。
一年間楽しませてもらいました。
来期のプリキュアは…うーん。ここまで完璧なものをやり切った後だとなあ…。
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