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本論文は、大豆調整乳で育った女性は牛乳で育った女性より生理痛に悩まされるリスクが高くなることを示しています。
Hum Reprod 2019; 34: 148(米国)doi: 10.1093/humrep/dey303
要約:2010〜2012年にデトロイト在住で23〜35歳のアフリカ系アメリカ人を対象に、子宮筋腫のリスク因子を前方視的に調査するコホート(SELFスタディ、1696名)を実施しています。今回はこのコホート対象者1553名に、幼児期に摂取していたミルクが大豆調整乳なのか牛乳なのかと生理痛の程度をアンケート形式で質問し、その関連性について後方視的に検討しました。有意差の見られた項目は下記の通り。
大豆調整乳使用歴あり 大豆調整乳使用歴なし リスク比
生理中に鎮痛剤を使用したことがある 〜 〜
初潮から5年未満で使用 55%(108/198) 46%(616/1355) 1.2
生理中予防でピルを使用したことがある 21%(42/198) 15%(197/1355) 1.4
初潮から5年未満で使用 10%(19/198) 5%(72/1355) 1.7
中等度から重度の生理痛頻度がほとんど 27%(44/163) 18%(197/1114) 1.5
解説:生理痛(月経困難)は、月経中に出現する腹痛、背部痛、締め付けるような痛みであり、約60%の女性で見られる現象です。生理痛がひどいと、日常生活を損なうばかりでなく、学校での活動や仕事での生産性にも悪影響が生じます。生理痛にはプロスタグランジンが関与しており、子宮収縮と細胞の酸欠を引き起こします。「視床下部〜下垂体〜卵巣〜子宮」経路は妊娠中のみならず生後も幼児期まで発達が続きます。従って、この時期の外部からの女性ホルモン(エストロゲン)の暴露により、この経路が破綻しても不思議ではありません。外部からのエストロゲンとして大きく二つに分けられます。フィトエストロゲン(植物性エストロゲン)と環境ホルモンです。フィトエストロゲンはイソフラボンが重要で、大豆に多く含まれています(ゲニステイン、ダイゼイン、グリシテインなど)。フィトエストロゲンは環境ホルモンより女性ホルモン作用が強力であること、大豆調整乳摂取の幼児の尿中ゲニスタイン濃度は牛乳摂取の幼児の尿の500倍にも達すること、大豆調整乳摂取の幼児には膣成熟が認められることから、大豆調整乳摂取により「視床下部〜下垂体〜卵巣〜子宮」経路の破綻が生じるのではないかと考えられます。2001年に、臨床医学では最高峰の雑誌の一つであるJAMAに「大豆調整乳で育った女性は牛乳で育った女性より生理痛に悩まされるリスクが高くなる」と発表されました(1999年に20〜34歳の女性、アイオワ在住、大豆調整乳248名、牛乳563名、後方視的検討)。本論文は、その約2倍の方を対象にした後方視的検討であり、同様の結果を示しています。大人だけでなく、乳児期にも女性ホルモンの取りすぎに注意が必要です。
女性ホルモン摂取については、下記の記事を参照してください。
2013.2.13「」
環境ホルモンについては、下記の記事を参照してください。
2018.5.23「」
2012.12.15「」
2012.12.19「」
2013.1.8「」
2013.1.10「」
2013.2.20「」
2013.8.13「」
2013.9.27「」
2013.12.5「」
2013.12.19「」
2014.2.28「」
2014.3.21「」
2014.4.18「」
2014.7.17「」
2014.9.28「」
2014.9.30「」
2014.11.4「」
2014.12.5「」
2015.2.4「」
2015.9.10「」
2015.10.22「」
2015.11.21「」
2016.7.20「」
2017.3.9「」
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