「過疎」に騙されないために
2018年4月1日(日)付で廃止する三江線。この日付はあくまでも「書類上」のもので、実際の列車運行は前日の3月31日(土)23時59分までしか出来ない。
回送や試運転であっても4月1日(日)午前0時00分以降は三江線に列車を通す事が出来ない。
三江線関連のさまざまなホームページを見ていると、一部「4月1日が最終運行日なので、4月1日は三江線に乗りたい」と言う記述があるが、これは誤りで正しくは3月31日となるので注意が必要だ。
↑浜原駅で車両の増結を実施している時の様子。三江線の最終運行列車は三次発・江津発とも中間の浜原止まり。両列車とも最低2両で運行するだろうから、浜原の時点で合計4両が在線する事になる。
三江線廃止と同時に三江線で使用していた車両も廃車にするわけではないので、3月31日(土)のうちに三次か江津に戻さないといけない。
これは私の予想になるが、浜原を22時前後に江津・浜田へ向けて返却回送するための列車が走るはずだ。4両連結にして1本の列車に仕立てた上で、このスジで走れば23時59分までには少なくても江津に着く事は可能だ。
この返却回送列車こそが三江線を走る最後の列車となる。
★最後の列車が通り過ぎた後は「鉄道の命を絶たれる」作業を・・・
翌日の4月1日以降は三江線で列車が走る事は100%ない。道路と干渉する踏切については、遮断機が下りないようにしておく必要がある。具体的には電気回線を遮断したり、「鉄道廃止、一時停止不要」と言う看板を踏切付近に設置して、踏切を横断するクルマや人に知らせる必要がある。
↑最終返却回送列車が三江線内から出た事を確認した後は、江津駅(写真)、三次駅構内から三江線が分岐する部分の線路を「断線」。
正確に言えば、閉塞信号機付近や分岐器付近を境界に線路を真っ二つに分けてしまう。そうすれば、物理的に列車を通す事が出来ない。断線させる作業は、溶接でその部分を切ってしまう。そんなに時間もかからないだろう。
「断線」した時点で、江津駅・三次駅構内に三江線から(三江線へ)列車が入る事が出来なくなるので、完全にこれで「鉄道としての命が絶たれた=死亡」となるのだ。
「断線」と同時に江津駅構内にある三江線の信号システムも役割を終了する事になる。電源を落としてしまえば、信号機も消えてしまう事になる。
この作業は3月31日(土)~4月1日(日)の夜間から未明にかけて行われることになるだろう。
これは余談だが、レールやマクラギの撤去も実施されると思うかもしれないが、他社事例では廃止直後にそれをやる事はほとんどない。廃止して数年後くらいに線路や路盤を撤去し、更地化して住宅や公園等を作る時にようやくその撤去が始まる事が多い。三江線も同じような流れをくむはずだ。
★4月1日(日)以降は三江線の鉄道施設は島根県・広島県に移管。基本的に駅に入る事が出来なくなる
今の所の計画だが、JR西日本は4月1日付で三江線の鉄道施設、すなわち、線路、駅等を全て沿線の島根県・広島県に移管する。この時点で所有者がJR西日本→島根県・広島県に代わるため、同日以降JR西日本に言わせれば「よその人の財産」と言う事になる。
4月1日以降、三江線の鉄道施設をどのように利活用するか?決まっていない。一部は地元自治体や法人等が買い取る話も出ているが、詳細は不明。川本町では、因原駅付近の三江線の施設を買い取る事が決まったと川本町の2018年1月付けの広報(川本町役場のホームページで見る事が出来る)に書いてあった。
川本町の町長によれば、今後買い取った三江線の施設をどのように利活用するか検討したいとしている。
他社事例であるが、4月1日以降は鉄道の駅として使えなくなるし、所有者もJR西日本(鉄道会社)ではないため、駅の中には自由に立ち入れなくなる。恐らく入口付近にバリア(柵)が建てられて、物理的には入れなくなるだろう。
↑例えば、宇都井駅。4月1日以降は116段ある階段すら昇り降りする事が出来なくなる可能性がある。
「可能性がある」としたのは、この辺の事が私にはわからない事だ。宇都井では「鉄道公園構想」があって、廃線後も自由に宇都井駅構内に入れるようにして、過疎化や高齢化が進む宇都井駅周辺の観光客の誘致や活性化を狙いがある。
ただ、それでも基本的には4月1日以降”天空の駅”には入れなくなると思って間違えはない。
だから、3月31日まで三江線は動いているから、行きたい駅があるならばそれまでに訪問する事をオススメする。
(以下、4月14日追加)
三江線が3月31日で廃止になり、翌日の4月1日の午前中に三次~宇都井の主な駅に行ってみると、下記写真のようになっていた。
↑宇都井駅。入る事が出来ない。
↑式敷駅手前の踏切も公道から入る事が出来なくなっている。
↑長谷駅は、並行する県道から階段を登らないといけないが、駅舎の中には入る事が出来ない。ホームの手前でやはり柵があって入る事が出来ない。
↑2018年3月3日撮影の所木駅を示す看板。
↑同年4月1日撮影の同じ看板。小さく「旧所木駅」とあった。
↑三次駅の運賃表からは三江線の分が消えた。
今後誰かの手によって再整備されない限り、三江線があった駅には入る事が出来ないと言える。
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「愛しのアイリーン」の完成披露試写会に連れて行って貰いました。もっと早く感想をアップしたかったんだけど、あまりの衝撃に、直ぐには書けず、今になってしまいました。
ストーリーは、
42歳まで恋愛を知らず独身でいた岩男が、久しぶりに寒村にある実家に帰省する。しかし、実家では死んだことすら知らなかった父親の葬式の真っ最中だった。そんなタイミングで帰ってきた岩男がフィリピン人の嫁アイリーンを連れていったため、参列者がざわつき出し、その背後からライフルを構えた喪服姿の母親ツルが現れる。
というお話です。
ある寒い地方の過疎地の村に住む、両親をかかえた42歳の独身男・岩男は、年老いた母親に早く結婚しろと言われているが、相手がいない。人見知りで臆病な性格もあり、女性と上手く関われないのだ。ある日、田舎町にあるフィリピンパブで、いつものように友人たちと飲んでいると、フィリピンに行き、妻となる女性を買うツアーがあるという噂を聞く。まさかと思っていたが、コッソリ話を聞くと、ツアーに参加すると、本当に女性を紹介してくれるらしい。どう考えても、この過疎地で嫁を迎えるのは無理だと思った岩男は、母親と喧嘩して家を飛び出したのをきっかけに、思い切ってフィリピン妻探しツアーに参加することにする。
家では、年老いた父と母が岩男を待っているが帰ってこない。既に痴呆症を患っていた父親は、突然倒れて、亡くなってしまう。息子が不在なので、仕方なく母親一人で手続きをし、葬儀を始めたところへ、突然、息子が帰ってくる。フィリピンから嫁を連れて帰って来たのだ。驚く周りの人々だが、一番驚き、怒った母親は、フィリピンからの妻など受け入れられないと激怒してしまう。何とか葬式を済ませるが、母親は嫁を受け入れず、岩男は、妻のアイリーンを連れて、ホテルを転々とし、車で生活を続けている。
妻となったアイリーンは、フィリピンにいる家族を養う為に岩男と結婚し、毎月、いくらかのお金をフィリピンに送るという契約で日本に来た。まだ若く、結婚がどんな事なのかもよく解っていないアイリーンは、岩男が手を出そうとしても拒み、初めてスル人は好きな人、と言って聞かない。妻が横に居るのに手が出せない岩男は、悶々と溜まって行くばかり。
しばらくして家に帰ると、母親も落ち着いており、アイリーンの事を許してはいないが、岩男と一緒なので、仕方なく家に入れる。生活が始まり、母親のアイリーン虐めは無くならないが、アイリーンも負けておらず、クソババアとフィリピン語で悪態をつくほどになっている。何となくバランスが取れ始めたと思った頃、母親は、どうしてもアイリーンでは無く、日本の女を嫁に貰いたいと願い、岩男に言わずに日本の女性と見合いをさせ、アイリーンをヤクザ関係の人間に拉致させて連れて行かせようとする。
岩男は、母親に女性を紹介され、妻がいるのにと不思議に思っていたのだが、家に帰ると、アイリーンが拉致されたことを知る。母親に怒りをぶつけ、直ぐにアイリーンを奪還しようと追って行き、そして・・・。後は、映画を観て下さいね。
この映画、衝撃でした。今は、フィリピン妻とかって話は聞かなくなりましたが、いまから20~30年位前って、この話、ありましたよね。過疎地で、妻が迎えられない男性が、フィリピンで妻を買ってくるって、ニュースで聞きました。ちょっとビックリしたけど、子供だったので、それがどういうことなのか分かりませんでした。でも、今、思うと、これ、人身売買なんですよね。
そんな事をして、日本に来たフィリピンの女性は、今、幸せになられているのかしら。最近、良く、モデルとかタレントで、母親がフィリピン人ですっていう子が出てくるので、きっかけは、あまり良くない事だったのかも知れないけど、きっと、この映画と同じように、お互いに愛するようになって、幸せに暮らしてらっしゃるのかしら。それはそれで良かったと思います。
それにしても、この映画、というか、この原作が、良く映像化出来たなぁと感心しました。監督が、10年くらい映画化したいと考えて動いていて、やっと映画化出来ましたとおっしゃっていたので、やっぱり、色々問題だと思ったんだろうなぁ。だって、日本としては、あまり知られたくない恥部だと思うんです。今なら女性軽視と言われて大騒ぎになるでしょ。もちろん、お互いが納得して、それで幸せになれたかも知れないけど、きっかけが良くないので、何とも難しい問題です。
映画では、日本に来たアイリーンは、とっても素直で可愛い女性なんです。もし、こんな子が嫁に来たら、楽しいんじゃないかな。何も分かってない分、教えがいがあるし、何でも一生懸命にやるんです。日本語も習って、買い物も覚えて、驚くほど、岩男と母親に尽くしているんです。こんな良い嫁無いですよ。日本人の女性なら、ここまでしてくれないと思いますよ。そして、段々と岩男とも心を通わせていくんです。そりゃ、そうですよ。こんなに可愛い嫁さんだったら、最初は仕方なく迎えた嫁でも、好きになっちゃうと思います。ここまで懐いて、尽くしてくれたら、可愛いと思いますよ。
そんな二人を引き裂くような事件が起こり、大変な方向に向かって行くのですが、その怒涛の落ち方は凄かったです。安田さん、これは凄いです。彼が”この作品は自分の代表作になる。”とおっしゃっていたように、この演技は凄かった。観ている方がおかしくなりそうでしたもん。息苦しくなっちゃうの。岩男の苦しさと哀しみと閉塞感が、こんなにも観る人間に伝わってくるかと言うほどでした。絶望が心を押し潰す姿が、そこにありました。この凄さを上手く伝えられません。
そしてアイリーンを演じていたナッツさん、凄い美人では無いのですが、何とも愛らしく見えるんです。上手かったなぁ。最初はお金の為に自分を売るような女性なので、あまり良い気持ちはしなかったのですが、観ている内に、凄く好感が持てる女性と言う事に気づかされるんです。そんな事を思わせる演技が出来るなんて、素晴らしいでしょ。良かったです。
そして一番恐ろしい母親を木野花さんが演じているのですが、これ程、花さんのイメージと離れているような女性を、良くあれ程に演じられたと思って、驚きました。木野さ
の印象とは違うクソババア役なんです。本当に、観ていて”クソババア”と言いたくなるような母親で、良く演じられたなぁと思いました。もう、木野さん、これで無敵ですね。何でも来いって言えそうです。
本当に、この映画、衝撃でした。それこそ、観た後、席を立てないというのはこういう事です。内容も衝撃でしたが、個々の人物の心理を考え始めると、もう、頭の中がグルグルしちゃって、観た後、何日も頭の中を離れず、今も思い出すと、感動してしまいます。それ程、素晴らしい映画でした。
私、まだ原作の漫画を読んでいないのですが、これ、読まないで観て良かったと思いました。もちろん、原作も良いのだと思いますが、動いている彼らを観て、その気持ちに寄り添えて、感動しました。映画を観てから原作を読むと、きっと今度は漫画の中の人物に寄り添う事になって、それは、また映像とは違う感覚になると思います。ぜひ読みたいと思っています。
私は、この映画、超!超!超!お薦めしたいと思います。今のところ、私の一番のお気に入りになりました。ハッキリ言って悲劇ですが、心に響く、素晴らしい作品です。人間とはと感慨にひたる作品だと思います。ぜひ、観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
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