ヤクザ 私の顔が会社の顔です

ヤクザ 私の顔が会社の顔です

あの芥川賞作家がヤクザについて涙ながらに語る映像

第472話/ウシジマくん58

あらゆる点で作中最強・最凶とおもわれた獅子谷に拘束され、いよいよ丑嶋もおしまい、死が目前に、というところまできていたが、丑嶋はなにもかもをコントロールしたうえでこれを乗り切ったのだった。爆弾は事前に準備されていたのであり、事前に準備されていたということは、必ず獅子谷と滑皮はじぶんを殺す前に隠し金を要求してくると確信していたということだ。そして、拘束されて動けない状況でも、丑嶋は、誰もが見落としていた椚という要素を有効に生かし、決定打としたのである。ポイントは、滑皮が丑嶋の隠し金を要求することを丑嶋がわかっていたことだ。

だが椚爆弾はセンダを即死させはしなかった。大やけどを負いはしたがまだ動けるセンダは、拘束されたままの丑嶋を刺そうとする。これを阻むのは柄崎である。柄崎は、滑皮たちの手によって剥ぎ取られた丑嶋の超人性の、ひととしての象徴である。柄崎が丑嶋を尊敬しつづけるそのふるまいが、日光と影がそこにいるひとを示唆するように、丑嶋の超人としての輪郭を明らかにする。同時に、彼は足かせでもあった。これは、滑皮が、意図しているのか、あるいは想定を超えたものなのか未だに不明だが、丑嶋がじぶんのことしか考えていない自分勝手な人間だとした状況は、もはやない、という可能性を示す。かつてはたしかにそうであったかもしれないが、丑嶋がもしほんとうにじぶんのことしか考えていない自分勝手な人間であったなら、高田や小百合のことで獅子谷にしたがうことはなかったかもしれないし、いまの状況も、拘束されたとしても、またちがうものになっていただろう。そして、駆けつける柄崎は、丑嶋のその成長のようなものにこたえるものだ。丑嶋が、ある意味「大人」になり、自分以外の人間にも配慮するようになることは、ある程度彼の動作を限定することになるが、それは同時に、今回の柄崎のような不確定ではあるが希望のもてる要素を呼び込みもしたのである。丑嶋の全能性は、仲間によって毀損されるが、時間をかけて補修される。センダが丑嶋に襲いかかろうとする場面の恣意性というか、先週は冗談のつもりで書いたが、「そんなの運じゃん」というような、柄崎がほんの数秒遅ければ丑嶋は終わっていたという状況は、丑嶋の全能性が丑嶋個人のものではなく、カウカウのもの、会社の目線になりつつある、あるいはずっとそうだったものが内面化されつつある、ということなのかもしれない。

ものすごい爆発だったから通報されているにちがいない、すぐ逃げようと、丑嶋の拘束を解いた柄崎はいうが、丑嶋は誰もこないという。前の爆破の実験もこのあたりでやったのだろう、近所で2階実験をしたが、なにもなかった。いちばん近い集落で車で30分くらい、それも老人ばかりで、猪の駆除してるくらいにおもってるんじゃないかと。猪獅子ね。半分当たってるね。

死体はどうするか。丑嶋はセンダ(しばらく様子をみていたが、名前の字は潜舵で確定ということでいいだろう)が鳶田に連絡をしていたのを聴いていた。鳶田は篠田の死体を処理している。同じように処理させようというはなしだ。

潜舵はまだ生きている。ころっと態度をかえて命乞いをするところがいかにも彼らしい。こう見えて娘がいるのだという。丑嶋はいつもどおりの落ち着いた様子で、潜舵に地下の掃除をさせる。強盗のときには、なにがあっても対応できるように、細々したものをいっぱい積んでいるのだ。丑嶋は、どこに置いてあったのか、鍋爆弾をリュックにいれて潜舵に背負わせる。ワンタッチで大爆発である。

丑嶋たちは柄崎の車に乗って潜舵を待っている。柄崎は、丑嶋と同じ車種に変えたらしい。それよりも、柄崎は丑嶋の指が心配だ。いちおう落ちた指を冷やしてもってきはしたが、急いだほうがいいのにちがいはないだろう。しかし、なんといって治療してもらうのか。滑皮のヤクザ病院にいったらつかまる。そこで柄崎はいっしゅん考えて、客に淀橋という精肉屋のものがいることを持ち出し、ここの従業員ということにして、仕事中に指を切ってしまったことにしようという。丑嶋もほめているので、なかなかいい考えのようだ。

丑嶋が柄崎のスマホをみる。潜舵から奪ったスマホと同じ機種だ。ちょっとした考えがあるようだ。

作業の終わった潜舵がもどってくる。死体をゴミ袋につめたようだが、みんな甲児みたいにバラバラになったわけじゃないだろうし、切ったりしたんだろうか。丑嶋は潜舵にスマホを帰して、鳶田に回収依頼をするようにいう。信じていいかという丑嶋に、潜舵は、スマホをいじりながら、丑嶋にかかわったらヤバイと噂を広めると約束する。スマホをいじっている動作との整合性をとった発言だろうか。

だが、潜舵が送ったのは、鳶田への救援要請だった。仲間を呼んで丑嶋たちを殺してくれというような内容だったようだ。具体的になにをしたのかよくわからないが、潜舵と柄崎のスマホを交換したということだろうか?交換しなくても、鳶田の偽アカウントを柄崎のスマホでつくって潜舵のスマホに登録すれば同じ状況にはなるが、それだと「同じ機種」のくだりがあんまり意味ないよな・・・。もし潜舵に柄崎のスマホわたしたのだとすると、LINEの画面がぜんぜんちがうわけで、前の会話とかが消えてたりあるいはぜんぜんちがってたりするわけだよね。さすがにそれだと潜舵も気づいてしまうかも。LINEやらないうえにそういうセキュリティー的なこともいまひとつ理解していないから、よくわからないなあ・・・。

まあ細かいことはともかくとして、潜舵はあっさり裏切ったわけである。丑嶋が潜舵のナイフを右の三本指で握って迫る。直接描写はないが、刃物で殺したようである。

ゴミ袋からは、鉄也が処理されたときのように、特徴的なイレズミの甲児の左手が伸びている。鳶田が死体を確認した。廃墟に1体、山奥に放置されていた車に4体ということだ。姿が見えないので気になっていたが、椚もあの火で死んでしまったようだ。滑皮は、車の死体は獅子谷とその子分かと念を押す。鉄也から甲児へつたわった例の首飾り、あれを指にさげながら、滑皮はちょっといままで見せたことのないような空洞の表情で座り込むのであった。

つづく。

煽り文の「獅子谷でも殺せなかった丑嶋」が秀逸だ。まさに、滑皮の心中はそれだろう。どうなるかわからないし、結果起こったことはそれとして引き受ける、つもりではあったろうが、それでも、マジか、という感じだろう。だって、あの獅子谷、ちょっと天然というかドジなところはあるけれど、単独の腕っ節ではおそらく東京最強レベルで、兄の遺志を継いで必要以上に慎重で、ひとを殺すのをためらわない部下を何人も抱えたうえにチームワークもとれていて、めちゃめちゃ資金もある、あの獅子谷が、圧倒的優位の状況で殺されるなんて、考えられないよ。予想はしてても絶句しちゃうよね。

最後に滑皮がいた場所は、鉄也を処理したときと同じところだ。その前のページには鳶田のセリフと、シルエットが三つあるので、最初読んだときには、鳶田が業者のふたりといっしょにいて、電話してるのかとおもったが、そうではなく、回収してもってきて処理したあとに、鳶田が、やってきた滑皮に説明している感じなのだろう。そこには甲児の首飾りと時計が落ちている。落ちている場所と滑皮が拾っている場所がいっしょなのかどうかはよくわからない。だが、どちらも無傷なので、解体したときにとれたということだろうか。ゴミ袋から伸びる甲児の左手にはすでに時計がない。だから、潜舵が、これをつめるにあたって解体し、そのときにすとんととれて、袋のなかにあったかして、この処理場まで運ばれ、なにかの拍子に落ちた感じなのだろう。

このことを滑皮はどうあつかうべきか。まず、滑皮は甲児が丑嶋を今夜殺す気だったということを知っている。強盗のことはどうだったかな・・・。忘れたが、ともかく、甲児がそうするというのを、彼は許可したのである。それが、甲児とその部下の死体という結果だけ残した。洞察力を駆使しなくても、ものの道理として犯人は丑嶋である。だが、そのことを滑皮は表明できるのだろうか。甲児はじっさい、滑皮から許可をもらったということと丑嶋にいっている。だから、甲児を殺したのが丑嶋である、ということを指摘することは、そのまま、甲児が丑嶋を殺すことを許可した事実を認めることと、等しいとはいわないまでも、直接つながっ
いるのである。「甲児が死んだ、殺したのはお前だろ?」と問い詰めるのだとすると、当然、なぜそうおもうのかということになる。すると、あの夜、ふたりがいっしょにいたと知っていたことを、滑皮は認めることになる。ここと、滑皮の殺しの許可との間に、あとで盗聴の件などが出てくるかもしれないが、証拠のようなものはとりあえずいまはない。だから、「ふたりがいっしょにいたことは知っているが、甲児に殺意があったことは知らなかった」と、滑皮が強弁することは可能だろう。だが、げんに丑嶋は殺されかけ、「ふたりがいっしょにいた」ことを知りながら、滑皮は丑嶋が殺されかけた現場にはいなかったことになるのである。なにがいいたいかというと、例の、守ってやる発言が、ここで薄っぺらなものになりかねないということなのである。

ただ、滑皮の理屈としては、いま本職になれば、おれが守ってやる、ということなので、げんに丑嶋は、したがってはいるものの、ヤクザになったわけではないので、むしろ好機ととることもできる。ほれみろ、というわけだ。しかし、実感としてはどうだろう。戌亥の見立てでは、金を奪ったあと丑嶋は滑皮に殺される。しかし、“あの獅子谷”が、あの条件で殺せなかった丑嶋を、その獅子谷なしで、滑皮は殺すことができるのだろうか。たぶん、そういうことを滑皮はいま考えている。彼は、ヤクザとして天下をとろうとしているが、それは、最強の男を目指すことと同義ではない。暴力で丑嶋を制圧できなくても天下はとることができるだろう。現段階の滑皮は、考えられる最凶の男としての獅子谷が通用しない丑嶋を殺すべきではない、殺そうと画策すべきではないと、クールに計算するのではないかとおもわれるのである。ヤクザになれ、守ってやる、というのは、ひとつの口実で、裏側には金を奪ったあと殺すという意図があったのかもしれないが、その計画は、ここでいったん白紙になるのではないか。

丑嶋の全能性は、金が介在することで起動する。今回それがはっきりわかった。だから、このまま滑皮が丑嶋の金を、小銭レベルではなく、全財産というかたちでねらい続ければ、彼もまたいずれ知らず知らず丑嶋の制御下におかれることになり、殺すどころか殺されることになってしまうかもしれない。それを、甲児が証明した。最初に書いたように、ここでのポイントは、動機はどうであれ、金を経由して丑嶋にコミットしようとすると、そのものは丑嶋の制御下におかれるということなのである。これは丑嶋じしんが求めたことだ。奪う側に立つためには、なにより奪われないものになることである。「奪う側」というポジションは、流動的だ。ライオンが百獣の王で、つねに奪う側でいたとしても、いつかは老い、弱って、奪われる側になる。そうでなくても、眠っているところを襲われればひとたまりもないし、弱い動物も束になってかかればこれを超えることができるかもしれない。そしてもうひとつ重要なことは、奪う/奪われるの摂理を受け容れたうえで世界を認識した場合には、わたしたちはどちらかいっぽうだけにいるということはできないのである。わたしたちは、奪われると同時に、奪っている。こういうことを考えたとき、つねに奪う側でいるということは、つきつめれば「奪われない側」である、ということになるのである。いってみれば、ヤクザは、つねに「奪う側」でいようとする存在だ。だが、そのことが同時に、みずからが奪われる存在になりうることを受け容れることになる。「奪う側」に立つということは、奪う/奪われるというこの世の摂理に与することの承認にほかならないからである。バキでもよくテーマになっていることだが、相手を殺そうと覚悟を決めてたたかいにのぞむものは、じぶんが殺される覚悟も決めなくてはならないのだ(ハブはおそらくそれができていた、だから彼は、特に腕っ節がどうのというタイプではないのに、印象としては暴力のヤクザなのである)。丑嶋はそのような流動的価値を求めているのではない。その結果、金融業が選択された。金がすべてではないが、すべてに金は必要だ。むろん、そうでないひともいる。お金持ちが全然うらやましくなく、生きる最低限だけあればあとはどうでもいいというひとは、この世には山ほどいる。だが、ここで重要なのは、その摂理に与するものしか、この問題には関与しないということだ。そうした仙人タイプの人間は、丑嶋の人生とはなんのかかわりもない。存在が確認されていないはるかかなたの惑星で人権革命が起こっても、地球に生きているものには少しも問題ではないのと同じことだ。と同時に、金は、金に関わるものを必ず拘束する。この機能を、丑嶋は若いころから見抜いていた。世の中に、金に関係のあるものと、ないものとがいる。ないもののことは考えなくていい。そして、関係のあるものは、必ず、深くこれと関係している。このことが、それを支配する立場である丑嶋に、全能性を与える。

こういう視点を思い返してみたとき、滑皮がなぜ丑嶋じしんというより、丑嶋の金にこだわるのか、ということも了解できるようになる。甲児にもそういう面はあった。彼らほど稼いでいるものであれば、いくら丑嶋が大金を隠していても(予想以上に隠していたようではあったが)、金額としてはどうでもいいぶぶんがあり、じっさい甲児は、わざわざ部下をつかって丑嶋の回収金をとりにいかせながら、額さえ確認しないのである。通常、貨幣というものは、交換に用いる道具なのだから、それじたいを交換しても、貨幣という概念のうえでは、なにも起こらない。わたくしがもっている1万円札と、あなたがもっている1万円札を交換しても、せいぜい、わたくしがもっていた1万円札がくしゃくしゃになっていてATM通らないとか、そんな程度のちがいであって、貨幣ということにかんしては、そこではなにも起こっていないと解釈できるのである。しかし、丑嶋にかんしては(少なくとも滑皮たちにとっては)そうではないのだ。「丑嶋の金」は、下部構造としての金が世界を支配する、「金の世界」を制御する媒体なのである。むろん、ここには象徴的な意味しかない。丑嶋が十日五割で10万円
貸して、債務者の欲望をコントロールしても、その10万円札をつかえば誰でも同じ債務者を支配できるようになる、わけではないからだ。だが、逆にいえば象徴的な意味は含まれている。丑嶋を殺す、なにより、丑嶋の金を奪うという、その動作は、「金の世界」を超越することにほかならないのである。甲児はより複雑であり、滑皮はまだ語られないぶぶんが多いので、なんともいえないぶぶんはあるが、こころの奥底では、そういう感覚があるのではないかとおもわれる。丑嶋を、なにより金の文脈で奪い、殺す、もしそれが達成できれば、それは、金の支配者であり、「金の世界」の構造そのものである丑嶋を超えることであり、その世界を掌握することにつながっていくのである。

しかし、甲児は丑嶋に敗北した。この文脈でいうと、甲児は、圧倒的暴力を備えながら、丑嶋の暴力に屈した、のではないことになる。彼は、金を奪おうと(滑皮の指示で)決意した瞬間から、丑嶋の手中におちた。だから、つきつめれば、甲児は金の力に、それが支配する世界の堅固さに、敗北したのである。

ところが、である。今回丑嶋は、おそらく潜舵を刃物で殺している。丑嶋はいままでいろんな悪党を殺してきたが、刃物で、刺すか切るかして殺すというリアリティは、これまでちょっとなかった種類のものだ。ヤクザにかんしていえば、ハブ一味は爆弾だし、熊倉は銃である。甲児たちも爆弾だ。いちばん近いのは安里のタクティカルペンだが、あれは生死不明であるし、殺意に重点が置かれた行動でもなかった。いままで丑嶋が「一線を越えた」ことは幾度もあったが、刃物というのは、さすがに最後の一線という感じがする。

潜舵にチャンスを与えていることについてはどう受け止めればよいだろう。爆発による死者は、いってみれば「自然に」発生したものだ。丑嶋は、電話をかけると爆発する爆弾を設置して、椚に電話のかけかたを教えただけである。場面をつくる、という具体的な発言もしていたが、スマホをとられて焦っていたことからして、椚はあくまで不確定要素として利用されただけであり、シナリオを書きはしたが、訪れた結果は、丑嶋の手を離れたものだったととらえることはできるだろう。金と欲望をベースに人間の行動を予測する丑嶋がたてた「だいたいこんな感じになるだろう」という図面があって、その結果、細部までは予期できないしかたで、予想通りの結果がおとずれたわけである。しかし、潜舵はこれを免れた。この時点で、彼は丑嶋の「金と欲望」をベースにした計画からはずれている。全能にみえる丑嶋の見立てに瑕疵があることが、これで判明したわけである。それは、じっさいそうなのである。それが、カウカウファイナンスという、両面的なかかわりだ。柄崎が拉致されたとき、自業自得だとしながら、けっきょく丑嶋は柄崎を助けに行った。その丑嶋に、甲児は、こんなやつは自業自得なのだから見捨てるべきだった、というのだ。これが、丑嶋の全能性を損なう。彼に人間性が宿ることで、神の視点がじゃっかん次元を下げたものになっているのだ。その結果が潜舵、というわけである。

丑嶋は潜舵にチャンスを与えた。信用していいのかと問いかけ、スマホを預けた。そして、潜舵が予想通り裏切ったことを見届けて、これを殺した。これはどういうことかというと、爆発を免れた潜舵を殺す理由が、人間・丑嶋にはないのである。甲児たちは、どこまでも「金の世界」の内側で、闇金ウシジマくんの図面のなかで爆死した。これがとりこぼした潜舵は、もはや図面に含まれていない。だから、「金の世界」の摂理のもとに、“自然に”死ぬということが、もうない。したがって、丑嶋は、カウカウでのかかわりがもたらした人間性を足場にして、潜舵と接しなければならない。だから、理由を求める。小川純のときのように、「金の世界」の内側で、債務者に選択をさせる、ということはこれまでもあり、潜舵とのやりとりはその相似形になっている。が、底流しているものがここでは金ではなく、人間性なのである。人間・丑嶋は、制御できない場所にいる他者の潜舵を、なんの理由もなく殺すことはできない。殺してやるとかヤクザ呼ぶとかいって騒いでいれば、それもできるが、潜舵は態度をころっと変えて、許しを請うのだ。そうして、丑嶋は潜舵の裏切りを見届け、人間としてこれを殺す。凶器が刃物であることは、そのリアリティ、丑嶋が、人間として潜舵を殺した、ということをあらわしているだろう。金の流れで“自然に”ひとが死ぬのでなく、ハブのときのように身を守るために策を弄したというのでもない。そうしてみると、これは丑嶋にとってはじめての、人間としての殺人なのである。

潜舵生還はカウカウファイナンスでのかかわりと遠く表裏一体だ。彼の図面が潜舵をとりこぼすのは、全能性に瑕疵があったからであり、それはカウカウがもたらしたものだ。そして、それを回収するのもまた、カウカウでのかかわりに含まれる柄崎との友情関係である。カウカウがとりこぼさせた潜舵を、カウカウがきちんと制圧したのである。したがって、この瑕疵ということにかんして、清算は済んでいる。目を覚ました潜舵とのやりとりは、ゼロからスタートしたものなのだ。こうしてみても、潜舵殺しがかなり逸脱したものであることがわかるだろう。

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滑皮がもし丑嶋は殺すことができないと悟ることがあるとすれば、それは、最終的には金、という丑嶋の立場を認めるということになる。彼は、丑嶋を求めているが、それはいまふたつの意味をもっている。ひとつは、熊倉殺しの犯人として、大きな矛盾としてである。これ以上ない「丑嶋を引き入れる」という矛盾をクリアすることで、彼はヤクザ社会を超越することができる。そして、次に、丑嶋というより「丑嶋の金」である。もし彼が丑嶋を心底屈服させるか殺すかできれば、それは、「最終的には金」という丑嶋の立場をも飲み込むことになるからである。金を超越することになるのだ。このあたり、例の黒河内との件とかがそろそろ響いてくるんじゃないかという予感がする。

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今日のLICAさんの“告白”は

昨夜、私に起きたことと

まさに『LINK』してて

ほかの記事書いてたけど

先にこれを伝えようって思います。

『私の告白』

を読んだ時

正直、ワクワクという感覚はなくて

でも、なんかわからんけど

「行かなあかん」

って感覚だけが湧いてきて

それもサポートスタッフとかではなく

参加者として目に焼きつける必要がある

って思ってすぐ申し込んだのね

その意味がこのブログを読んで解けたし

めっちゃ泣けたーーー泣き3

思わずLICAさんにすぐメッセージ送ったら

「みんな繋がってるんやなぁ~」って返事くれて

有難くって、また泣けたーーーー泣き3泣き3泣き3

ひっさしぶりに大きく感情が揺さぶられた昨日
実家の母親が
私の履いていた赤いスカートをみて
と同じ服でしたが
「40過ぎて、もっと落ち着いた格好しなさい」
「年甲斐もなく、そんな格好で帰ってくるな」
という外見的否定から始まり
父親からは、
花火の時に来てくれた友達について
失礼極まりない酷い言葉で否定をして
さらに、
私が今していることに対しては
詐欺や騙しやないか
弱いものからお金をたかってるだけや
ヤクザみたいなことするな
お前にそんな価値があるのか
コツコツ真面目に、まっとうに働け
それが常識っていうもんや
親孝行できんやつが
他人を幸せになんかできん
一般社会では通用せん
上場企業の部長や課長クラスが認めてるんか
狭い世界で甘やかされてるだけや
そんなもんわがまま勝手や
と、まぁさんざん罵られて全否定されたgakuri*
これまで親に頼って、散々助けられてきた私は
お前は口先だけで、父親を騙す詐欺と同じ
感謝がない、幸せには見えん
・・・と
父親を騙すその姿勢が許されへん!!
って、
かなり強い口調で父から罵声を浴びせられました。
静かに聞いていると、他人事と取られ
感情を吐露すると、言葉遣いが悪いと言われ
何しても、何を言っても、否定する両親。
「誰かに助けてもらったらいいやん」
という私に対しても
それはたかってるだけや
人に幸せを与える人になれ
家族や親に幸せを与えろ
と、これを読んでくれている皆さんに
お伝えするには申し訳ないほどの
言葉の刃が降り注いできました。
両親から言われる存在や価値の否定は
まぁなかなか強烈でね~泣き3
母親から
「お母さんは価値がないから」
とアピールされるしちび顔
それを全力で否定したけどさ・・・
親が自己の存在を否定したら
その子供として生まれてきた私は
もうさ、生まれてきたことさえ
罪なんかと思わされるほどで・・・
それらの言葉で
どれだけ我が娘を傷つけているのか
両親は知る由もなく…
さすがの私も
強烈な悲しさが押し寄せてきてね泣泣泣
幼少期から長年つづいていたことが
未だにまだ続くのか~とゲンナリしてがーん
だけど・・・
この強烈な現実を作ったのは私で
少し前の思考が現れているだけ。
さらに言うと、
それだけ強いメッセージ!
とはいえ、
外側の現実が意味することは
1人では向き合えなかったから
友達であり、先輩マスターの
ちーちゃんにHelpドコモ絵文字sosを送った~
「どう感じた?
「なんでそう思った?
そやって、自分の内側に問いかけます。
→外側の現実がツライ時ほど、
 そのストーリーから離れることだよ♪おんぷ
感情が揺さぶられるってことは
内側に何かがあるから。。。
クリアにしないといけない何か・・・
何もなければ、外側の現実に影響受けないからね。
とにかく、悲しい・・・
悲しいって思ったのはなんで?
「なんでそんなこと言うの?」
って相手に対してではなく、
自分から内なる自分に問いかけてみ~
百歩譲って、なんで騙したらあかんのやろね
本人はまっとうな商売と思っていても相手が騙されたって思うこともあるよね
やじるし純粋な思いでないとダメ、邪な心の人は嫌いやって
 少し前に話していたことを思い出した。それも思い込み。
幸せそうに見えない
頭がいいのに努力しない
真面目にしていない
騙しや詐欺や
お前にそんな価値あるのか
という父親の言葉に対しては
↓↓↓変換します↓↓↓
幸せに制限かけてない?
できるのに努力を惜しんでいない?
自分がやりたいことに対して真面目に取り組んでる?
自分で自分を騙していない?
(自分に)嘘をついているお前に価値はあるんか?
こやって変換すると
すべてがメッセージビックリビックリビックリ
そういえば・・・週末のマスター講座で
LICAさんには
「仕事として本気で取り組み~」
受講生には
「もっともっと大きなビジョンで動いてください」
と、やれ!動け!!のメッセージがきてるえー
そのラスボスが両親ということ。
ひぇーーーーーーーーー滝汗滝汗滝汗
さらに続きます。
ちーちゃんから
「マスターティーチャーを本気で目指してる?」と。
そう、私の次のステップはマスター認定コースを
開催できるティーチャーになること。
それは前から話してて、LICAさんたちにも伝えたことあって
でも、本気で望んでへんやろ。。。!?2って突っ込まれた。
なんかがブロックになってる・・・
自分の中を見ていくと・・・
「カードを創りだしたLICAさん&FUMITOさんにはかなわない」
「みんな二人に会いたくてマスターコースに進んでいる」
っていう思い込みがぁ~~~!!顔!
そう、
「みんなには自分を下にもってきたらアカンで~」
って話しておきながら
LICAさん、FUMITOさんよりも
上場企業の偉いさんよりも
自分の価値を下に置いて、
低く見ていた・・・ガーンガーンガーン
私の服装や友達の外見を否定されたのも
現実や目に映ることに捉われて
判断しているから
現実ばっかり見ていた私へ
わっかりやすいメッセージだよねーーー笑
さらに、履いていたのは
赤いスカート!!
感情でるよね~
爆発するよね~
だって、
黄色いスカートで怒られたことないから涙
もうね、
全部自分で創ってるんだよ。
内側が現実を創る。
だから、自分に謝って、自分と仲直りしたら
父から電話が・・・
「気分悪くさせてごめんな」
「本当の気持ちをわかってほしかった」
と、心から私を心配するメールも届いた。
まるで、内なる自分から自分へのメッセージ。
だから、タイムリー過ぎたLICAさんのブログは
そんな私へ、宇宙からの愛だと思ったミルク入りだな

みんな繋がってる
私も同じ。
わがままに生きることは
無条件=自由だけど
頼るところ、繋がるところがなくなる怖さを
両親を通してみていた。
自分を生きたら
見捨てられるのではないかという恐怖。
**********************

自分を信じるって、
無条件やからこそできる。

ハードルなんてない、
ルールなんてない、

人にどう思われようと、
誰にも認められなくても、

現実の結果なんてそれこそ、
全く「無条件の私」には無関係。

あの白銀の真っ白な、

な〜〜んもない世界のように

はじめっから
私たちは
何にも持ってない。

そして同時に

全てを持ってる☆

真実は。。
私たちはみな、
全ての条件を満たして
今ここに在る☆

だからこそ、
この世界で
「無条件でいい」
それで大丈夫なんや☆

**********************
2018.11.11
「LICA EXHIBITION 2018-LINK」
置きざりにしてきた本音と、
置き去りにしてきた自分と、

今ここで繋がろう。

無条件の自分と繋がる「LINK」☆
みんな、それぞれが自分との人生のこれまでの
様々な条件付けの中、
押さえ込まれた、気がついてあげられなかった想い、

それを一緒に
全て。。
今と繋げよう。

「LICA EXHIBITION 2018-LINK」
コチラ
**********************
なんかわからんけど、「行かなあかん」
って感覚が湧き上がった意味が分かった。
ありのままのLICAさんの表現に自分を重ねて
LICAさんが築き上げてきた世界観に自分の未来を重ねて
小さく縮こませていた翼を今こそ大きく広げて羽ばたこう。
もっともっと望んでいい。
可能性は無限なんだから・・・
LICAさんはそれを見せてくれている。
この本はとってもオススメだよーーー
1,404円
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LICAさん&FUMITOさんと出逢えて
シンクロニシティカードに出逢えて
仲間たちや受講生のみんなと出逢えて
本当に幸せですミルク入りだな
そして、
そんな人生をクリエイションした自分自身に
私のブログを読んでくださる方に
これまでの私を支えてくれたすべての存在に
心からの愛と感謝と光を込めて
ありがとうございます。
愛しています。

OKO-KEIイルカ1

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ダメ人間のためのヤクザの7つのコツ

息子①……4歳にして、完全にチンピラです。

全て嫌な事は人のせいポーン
まぁ、婿どんの性格をそっくり受け継いだ形やけど……
自分の製作したLEGOを落としてしまって、崩れたのは、その時に話しかけたママのせい滝汗
朝起こして、早くご飯たべなさい!!っと言うと
『早くって言わないで!ゆっくりしたいの!!もっかい初めから!!』っと、号泣ゲロー
初めから…とは、起こすところからやれプンプンっと、言う意味です。
いやいやいやいや……なんで、朝のクソ忙しい時間に、一度起こした人を、もう一度寝かしつけて、TAKE2しないといけんのよムキー
『早く食べないと、パンが冷めちゃうよぉ〜』
っと言うと、
『ゆっくりしたいから、パンをもう一度焼いて!!』
っと、無理難題。
こう言う時は、無視に限るてへぺろっと、ババァは察して、『要らないなら、ママと息子②が食べちゃうから♡』っと食べだしたら、息子①は発狂えーん
自分の朝ごはんを、触ったのが悪い!っと、大号泣しながら、ダイニングチェアに着席。
しぶしぶ食べだしたので、普通に話しかけたら
『食べてる時、TALKしないで!プンプン
っと、怒られました。
その言い方、ルー大柴かよニヤニヤっと苦笑してたら、
『笑ったらダメ!!もう、ママと遊ばない!!』
だってチーン
4歳児の最大限の嫌がらせ発言が、『一緒に遊ばない事』なのに、怒りよりも呆れからの爆笑しかないわ笑い泣き

まだまだスラスラ言葉が出てこなくて、半分なに言ってるか分かんないけど、婿どんはいつも、そんなチンピラにキレられてます。

↑この人が、チンピラです。大阪に出没してます。お気をつけください。
そんなチンピラと、ヤクザな1歳と、可愛げの無い40代のオッさんのおかげで、ババァは昨日から帯状疱疹発症。
原因は、疲れらしい………そやろねゲロー

ヤクザに相談だ。

わたしは今年の夏に、新しい地図というファンクラブに入った。

新しい地図とは、元SMAPの稲垣吾郎、草彅剛、香取慎吾の3人が立ち上げたファンクラブだ。
元SMAPの3人の活動は気になっていた。
国民的グループだった彼らが、とても不自然な形で解散し、世間で芸能事務所の圧力や忖度が噂された。
SMAPに全く興味がなかったわたしでも、連日ワイドショーが不仲説やクーデター説が飛び交っていて興味がわいた。
そして、初めて草彅くんのドラマ「嘘の戦争」を見た。
なにこれ。草彅くんかっこよくない?
草彅くんはいい人キャラと思ってたのに、こんな尖った役が似合うなんて。
いや、ていうか、この人すげーカッコいいんだけど!?びっくり
映画版任侠ヘルパーを見て、しびれた。
わたしは昔介護の仕事をしていて、あの世界とヤクザがどう結びつくんだろう?と思っていたけど、すごく面白かった。
さらに興味が湧いて、吾郎ちゃんや慎吾の映画やドラマも観た。
笑の大学、十三人の刺客、座頭市などが特に好きで印象に残っている。
めちゃくちゃ古いドラマ「一番大切な人」は20歳くらいの慎吾と観月ありさが出ていて、どハマりして観た。今ももちろん素敵だけど、この時の2人は超美男美女ラブ
こんなに楽しくて魅力溢れる人たちが、大手事務所を出て一体どんな活動をしていくんだろう?
暇なときファンサイトをチェックするようになった。
3人が歌う、パラサポチャリティーソング「雨あがりのステップ」をダウンロードして、朝なかなか起きない長男の目覚まし代わりに流していた音譜
新しい地図を立ち上げて初めての3人の映画「クソ野郎と美しき世界」を旦那を連れて観に行った。
テレビでの宣伝がほぼなく、2週間限定公開という興行収入が危ぶまれる(と勝手に思っていた笑)映画だったが、予想以上の反響、動員数で自分のことのように嬉しかった。
映画を観に行ったことは過去に何度もあるが、その映画の興行収入を気にしたのは「クソ野郎」が初めてだった。
これが、ファンってやつ?なんて思った(大してお金おとしてないけど笑)
4月からアベマテレビで3人が出演する月1回のSNSバラエティ番組が始まり、その日は家事や育児も適当に笑、楽しく観ていた。
そして「クソ野郎」のDVD販売が決まり、ファンクラブの先行予約には特典が付いてくるというのを見て、思い切ってファンクラブに入会した。
芸能人のファンクラブに入るのは初めてだったので、すごくワクワクした。
DVDを注文したところで、次男の障害がわかった。
あれから、DVDは届いたが開けていない。
毎週録画しているゴロウデラックスも未視聴のままたまっている。
自分の頭の中が次男の障害のことでいっぱいになってしまい、自分が好きだったことを楽しめなくなってしまった。
ゴロデラで紹介された作家さんの本も、読み途中になっている。
夜に読んだり観たりしようと思うが、子供と一緒に寝てしまう。。
たまに起きても、携帯で自閉症関連のことばかり見る日々。
ファンクラブの期間は一年毎更新。
来年、更新時期が来るときには、昔のように彼らの活動を応援し楽しめているだろうか。
きっと、そうだといいな。
わたしも、新しい地図を広げていられるといいな。
わたしの心にも、雨あがりのステップが流れますように。

間違いだらけのヤクザ選び

第474話/ウシジマくん60

金に制御された人間関係の図面を読んで獅子谷甲児を撃退、生き残った潜舵を駆けつけた柄崎と、丑嶋単体としてふるまいで殺害し、究極の危機を乗り切った丑嶋は、いつもの取立ての日々に戻っている。売り上げを寄越せといってくるものもいなくなり、それまでのマイナスを取り返すくらいの気持ちだろう。ちなみに、まだ回復の途中のようだが、切り取られた指二本はいちおうくっついたみたい。

豹堂は戌亥情報で、滑皮の武器庫をあさっていたところだ。ずいぶん前に丑嶋を呼び出して船のうえでロシアンルーレットをやったときのあれである。これを、豹堂は奪って、滑皮に不満のあるシシックの竹腹を使い、なにかさせるつもりだ。

豹堂がびっしり並んだフジツボを見ている。蓮の実とか、ああいうブツブツのものが苦手なのだという。苦手なのに、じっと見ている。不安は原動力になるからだそうだ。豹堂は、その銃を竹腹に渡すように巳池にいう。ここで豹堂のいっている不安とはなんだろう。ただ、滑皮のことだろうか。それとも、いまから行おうとしている計画にかんしてだろうか。いずれにしても、彼は不安におもうことでためらったり考え直したりはしない。それを原動力に前に進むのだ。

滑皮が梶尾と鳶田を連れてワンタン麺を食べている。スピンオフ作品『らーめん滑皮さん』を意識したものだろう。店じたいは梶尾の紹介らしい。

梶尾は餃子のタレをつかってワンタンを食べている。親父に教えてもらったのだという。いっしゅん意味がわからなかったが、このオヤジは、滑皮のことではなく、実の父親のことだ。それで、なにかスイッチが入ってしまって、梶尾が泣き出す。この店は父と弟と三人でよくきていたのだそうだ。いつもワンタンと瓶のコーラで、競馬に勝って機嫌のいい日など、父親はいきつけのスナックにまで彼らを連れて行ってアニメのうたなど歌わせてくれたらしい。その父親は、梶尾が中学生のときに肝臓をやられて死んでしまった。以来、母親が、こうした大衆食堂にもいけないほどお金で苦労しながら、彼らを育ててきた。そんな母親もおととし亡くなってしまったそうだ。母にも食べさせてやりたかったと、そんなことを考えて、泣いてしまったのだった。しかし、おととしというと、ヤクザくんのときだよな。母親なくした同じ時期に、車でヤクザ轢いたり、兄弟分が撃たれたり、梶尾も苦労してんのね。

黙って聴いていた滑皮は、改めてワンタン麺ふたつとコーラ5つを注文する。コーラは、じぶんたちも飲む。残りの余計なぶんは、梶尾の両親のぶんだと。次の墓参りには連れて行けと、滑皮はまた梶尾を泣かすのであった(ワンタンは鳶田がおいしく食べました)

続けて滑皮は黒河内にあって投資のはなしをすすめる。前回の3倍の利益が出るという。滑皮は、ワンズーミンという中国の投資家を戌亥に調べさせるよう、梶尾たちに命じる。

続けて鳩山のところにも顔を出す。お金はきちんともってくるし、ぬかりのない滑皮には鳩山も満足しているようだ。

ところで、彼らは黒河内にあって、さらに鳩山のところに顔を出したわけだが、これは前回シシックに行く前に梶尾が述べていた内容そのものにおもえる。竹腹の滑皮への不満はこのときに生じたものとおもわれるので、そうなると、港のところにいる豹堂たちの描写は、この日よりあとということになってしまう。しかし、すぐわかるように、それはおかしい。となると、この、ワンタン麺を食べている日は、シシックにいって竹腹を殴った日ではないか、あるいは、竹腹の不満は殴られる前からあったか、どちらかということになる。黒河内との会話をみると、これは前のとき以来初めてのやりとりというわけではなさそうだ。そうでないと、「今度その投資家に会わせてくれ」という言い方はしないだろう。よく似てはいるが、これはシシックに乗り込んだ、甲児がいなくなって1週間のあの日ではないようだ。こういう生活を、彼らは毎日くりかえしているのだ。滑皮はホテル住まいで警戒もしているからいいが、毎日同じ行動をとり続けることは、護身的な面ではすすめられたことではないだろう。

帰りの車内で梶尾が歌舞伎町での目撃情報を伝える。丑嶋のことだ。目撃情報っていうか、電話番号とか知ってるんじゃないのとおもうが、滑皮は険しい顔になって次見つけたら身柄おさえろと命じる。いますぐ見つけるわけではないのね。

そうして滑皮の一日が終わる。一日組長を守りきれて、梶尾も満足げである。梶尾と鳶田は、そのままどこかに飲みに行く。

そして、これは連続した次の日ということだろう。黒いシルエットで浮かび上がる風呂場の滑皮が鳶田からの電話をとる。警察から連絡があったと。梶尾が射殺体で発見されたのだ。

つづく。

梶尾の背景が珍しく描かれた、とおもったらあっさり射殺だ。なんでも吸収するという滑皮だが、暴力の大きさにかんしては、いまいちよくわからないところがあった。甲児は、最初のうちは滑皮に反抗していたようなのだが、やがて、これに屈服して、服従とはいわないまでも、いうことをきくようになったのだが、銃をそこに持ち込むのだとしてもどうやってそんなことをしたのか想像できないほど、滑皮とシシックでは差があったのだ。梶尾の死は滑皮には大きなダメージになるはずである。

本ブログは展開予想を旨とはしていないので、浅く書くにとどめるが、すっぴんマスター掲示板で、梶尾の死には滑皮が関与しているのではないか、豹堂を叩く口実として梶尾の死を利用するつもりなのではないか、という指摘があったけど、僕にもそれはありえるようにおもえる。ありえるというか、なくはないんじゃないかと。それが展開として現前したときにくわしく考察すれば済むことなので、ここではざっとした感想にとどめるが、まず、前日からの連続として描かれる滑皮の風呂描写だ。あとで丑嶋とくらべて考えるが、小指問題もある。滑皮が帰宅してリラックスしている描写がほぼすべて風呂、つまり半裸か全裸であるのは、彼の人生には「ハレ」と「ケ」における「ケ」がなく、生が全的に「ハレ」であるということを示すものだ。義指にかんしては、日常生活でそれを「装着している」というより、部屋でリラックスするときには「はずしている」ととらえたほうがよいかもしれない。欠落した小指と、鏡にうつるあざやかなイレズミは、ともに、彼が全的にヤクザであり、生の最初から最後まで、そうではない箇所を見つけられないことを、鏡を経由して彼じしんに伝える。丑嶋ですらが、「闇金ウシジマくん」をやめる瞬間がある。むろん、うーたんだ。うーたんが関与する場面で、彼は、「闇金ウシジマくん」が課すルールからはずれた、「ケ」の状態にもどることができる。しかし、おそらく滑皮にはそれがないのである。そのようにして抑圧された「ほんらいあるべきもの」は、かならず回帰して病徴となってあらわれる。ここでいう「やまい」は、生活を困難にする症状ばかりとは限らない。なんらかの、継続的な観察が可能なしるしを見せるということだ。ともに「ケ」を強く抑圧している滑皮と丑嶋は、父というかたちでそれが発症している。滑皮がヤクザの日常からしめだすのは、父の記憶である。丑嶋もそうだ。これが、かたちを変えて、ヤクザの機構を求めるものと拒むものとしてあらわれるのだ。

こうして考えたとき、滑皮の入浴場面が、印象的に真っ黒になっていることには、どうしても意味を見てしまうのである。彼が風呂に入るのは、じぶんは全的なヤクザであるということを確認するためだ。その場面に、重い沈黙と、真っ暗な表情があらわれ、直後、梶尾が死亡しているのだ。たんに、決意を新たにしたところで梶尾が死んでしまった、というふうにも読めるから、これはまあ、やはり来週を待つほかないが、直感的にはそのようにも考えられたのである。

そして、それが滑皮と梶尾においては矛盾しない、ということもあった。鳩山と滑皮のあいだには三人の男がいた。鹿島、熊倉、豹堂である。鹿島は、滑皮によって殺された。熊倉が指示していた可能性もあるが、いずれにせよ行方不明だ。熊倉は丑嶋によって殺された。あとひとり、豹堂がいなくなれば、滑皮は現在鳩山がいるポジションに消去法的にくみこまれることになる。もちろん、なんとなくその三人が消えて彼が昇格するのであれば、それはそれでよいのかもしれないが、果たして、すべての周辺のヤクザがそれで黙っているだろうか。納得いかないものも出てくるのではないか。こうしたところで、むしろ豹堂にかんしては直接対決をしたいと彼が考えたとしても不思議ではない。こちらから手を出すことはできない。もし、よくわからない理由で梶尾が殺され、その報復として滑皮が動いて豹堂が殺された、というような物語が成立すれば、文句をいうものは誰もいなくなるのではないか。そこで、思
い出されるのが、「親分のために体を張れる子分」という、梶尾たちについての戌亥の評価である。滑皮のためなら梶尾たちはなんでもする。このことで、梶尾は報われる可能性があるのである。

しかし、ワンタンの描写からしても、それを梶尾が了解しているとは考えられない。それが、あの真っ黒なシルエットを生んでいるのかもしれない。梶尾は、そういうはなしであれば死んでくれるし、滑皮もそれはわかっている。なにしろ、あの銃の場所をもらしたのが戌亥なのであるから、竹腹の行動も滑皮は予測している可能性がある。だいたい、あんなふうに竹腹を殴るのも彼らしくないといえばそうなのだ。それもこれも、そうして豹堂に泣きつかせ、じぶんを攻撃させるためだったのではないか。そんなふうにおもわれたのである。

展開予想は通常あまりちからを入れないので、ここらへんでやめておいて、今回考えるべきなのは梶尾の過去と、丑嶋の小指だろう。今回のこのワンタン麺のお店は、父親ときていた思い出の場所だ。そこで梶尾は、変わった味付けを披露するが、そこで、現在のオヤジである滑皮の前で「親父に教えてもらった」というのである。まあ些細なことなんだけど、ここから汲み取れないこともないではない。いちおうここでは、「滑皮組長」に「オヤジ」というルビがふられているとき、音声としては「オヤジ」と発声されているものとする(ウシジマくんでは「クサナギ」と書いて「フルチン」と読むなど、逆のようにおもえるものがあったり、どっちだか安定しないことが多いので)。ふつう、呼び名が同じ人物がひとつの話題に出てくるときというのは、配慮するものだ。そうでなくても、滑皮は目上の人物でもあるし、父とか父親とかと呼ぶのが自然におもえる。ここからは、梶尾には、価値の面で両者の区別がほとんどついていないのではないか、ということが見て取れるのである。別にこれは大胆な読み方でもなんでもなくて、梶尾は明らかに、なくなった父の面影を滑皮に探して、これに献身しているのである。

これに滑皮は、両親のぶんのワンタンまで注文して優しく応えるわけだが、これが一種の供養のように見えるのは、この瞬間に梶尾の実の父と滑皮が分離しているからである。もし梶尾に価値上の滑皮と実父の区別がついていないのであれば、滑皮がそれを食べているということが、また父と食べたい、そして母に食べさせたいという彼の未練というか願いを満たすことになる。表現としては、というメタ的なはなしになるが、滑皮の「オヤジ」としての価値がじっさいの父親と等価なら、ここではたぶん、たとえばワンタンといっしょにビールを飲んでいたエピソードなどが挿入され、滑皮がそれを注文する、つまり、かわりにビールを飲む、という流れになっていたはずである。しかしそうではない。滑皮はここで、優しく、実の父は死んだのであり、じぶんは彼と同一人物ではなく、等価でもない、ということを、追加することによって伝えたのである。

そうすることでなにが起こるかというと、父親が供養されて、滑皮はその代理ではなくなるのである。滑皮は実父と等しくはないが、立場を継ぐものである。このことが、供養を通じて梶尾に届く。今回の射殺の黒幕が誰かはおいたとしても、これは梶尾の死に応えるものになる可能性があるのである。

丑嶋の小指はくっついたようだ。これは、前回のはじまりにあった滑皮の義指の描写と響きあうものだ。滑皮は義指をはずすことによって、ほんらい「ケ」であるべき半裸のシャワーの場面でもヤクザというふるまいが貫徹されているということを自分自身にむけて刷り込んでいく。そして、ふだんのヤクザライフではスーツでイレズミを隠すように、義指で「小指の欠損」というサインを隠す。それらがサインとして意味をもつのは、少なくとも滑皮では、自分自身に向けてだけだからである。もし、威嚇などの意味も含めて、おれはヤクザなんだぞ、ということを周囲にアピールするために彫るのであれば、首や手首など、もう少し見えるところまで彫るだろう。だが、滑皮にはそういうものはない。なぜなら、そんなものがなくても彼はじゅうぶんヤクザだからである。ではイレズミはなんのために、どのようにしてサインの働きをするかというと、それが全的なものだということを自分自身に告げるためなのだ。後戻りの出来ない人生を歩んでいるという覚悟を背負っている、みたいな言い方をしてもよい。それが、彼のいうハンパものである丑嶋たちとは異なるところなのだ。このことを独り言でいっていたときの滑皮も裸だった。これは、あくまで彼の美学にかかわる表現であって、じっさいの効果だとか、目的だとかいったことは、ずっとあとに出てくる副次的なものなのである。

そうして、ヤクザとしての表象は、全的ヤクザである滑皮にとってはむしろ「ケ」の場面で有効になる。だから、彼には、ほんらい「ケ」であるべき半裸の局面で、義指をつけたりはずしたりするという動作が、意味をもってくるのだ。

では丑嶋はどうなのだろう。彼が小指(と薬指)を落とされたことは、丑嶋も暴力の必然性のようなものに巻き込まれることを回避できなかった、というふうに読めた。「小指がない」ということほどわかりやすいサインはないのである。滑皮にとってそれは自分自身に向けた記号だが、ふつうはそうではな
いのだ。丑嶋はあの瞬間に、「ヤクザ的なものからは逃れられない裏社会の住人」としてのしるしを刻まれたのである。けれども、柄崎がそれを回復する。もう本職になったほうがマシじゃないのか、などと言い出していた柄崎じしんが、指を拾って、そのような裏社会の必然性に背を向ける手助けをすることになったのである。

豹堂に象徴されるヤクザの旧体制を滑皮は否定するが、表向きそこへの敬意を絶やすことはなかった。それは、熊倉への敬意の表現にあらわれている。うるさいほど書き続けてきたのでくりかえさないが、滑皮は、「かっこいい兄貴」でいることだけが、ヤクザの紐帯になりうると考えていた(とおもわれた)。だが、じっさいに野望していることと表層の行動が一致しているとは限らない。滑皮にとってはそれは「方法」にすぎない可能性は、かなり高い。あるいは、ハブのように、滑皮にもあの空白の二年のあいだに変化が訪れているとみることもできるかもしれない。ともかく、表層だけであるのだとしても、ヤクザ的なものへの敬意を彼は絶やさない。小指の欠損はまさしくそこにあてはまるが、しかし、これがじっさいにはなんなのかというと、熊倉が鼓舞羅に殴られた一件がもたらしたものなのである。熊倉を丑嶋と間違えた鼓舞羅がこれに襲いかかり、すぐ射殺した件で、彼は指を落としたのだ。つまり、彼の小指には、ただ「ヤクザです」という表象以外に、熊倉の頭蓋陥没の一件がコノテーションとして含まれているのである。あのころといまでは考え方もちがうので、なんともいえないといえばそうだが、もしかすると彼にとって、熊倉がダメになってしまったあの事件は、最大の瑕疵なのではないか。現在の視点からみて、なんでも吸収する彼が、敬意とは別にうえを目指すとすれば、それは肯定的にとらえうるのかもしれないが、それでも熊倉に父性の構造を見出す彼としては、これをなんでもない事件としてあつかうことはできないのである。

そして、丑嶋サイドの物語が、ハブへの一撃からはじまったように、滑皮のいまの物語は、すべてあの鼓舞羅の一撃からはじまったともいえる。彼の人生において、ほとんど唯一制御できなかった突然の事故みたいな出来事として、つまりやはり瑕疵として、それは刻まれているのである。そして、滑皮も勘付いているように、その背後には丑嶋がいた。甲児にもあった感覚だが、丑嶋はどこにでもいる。関与を示す証拠はないが、事件の頁のどこをめくっても、丑嶋が登場するのだ。だから、ひとことでいえば、彼の小指の欠損は、丑嶋がつけた古傷みたいなものなのである。

根本的には等しく、「父」をどう読むかだけで分岐したのが滑皮と丑嶋である、というのが僕の考えだ。だから、同じように丑嶋も指を落とした。しかし、丑嶋にはそれは瑕疵にはならなかった。有能な柄崎がうまく働いた、ということももちろんあるが、そもそも、瑕疵とは、完全な状態が想定されてはじめてそれと認識できるものである。しかし、丑嶋の完全な状態とはなんだろう。カウカウのもたらしたものとうーたん以外では守るものもない彼に、美学はあるといえるだろうか。同じように小指を失っても、滑皮では覆いたくなるような古傷だが、丑嶋では前後で変化のない、ただの人生の起伏でしかないのである。

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ヤクザ 関連ツイート

RT @guchirubakari: 桂春蝶・上方落語の人気者が「10年不倫」の愛人を顔面殴打! https://t.co/47X3l7A55D

男女間には色々あると思うが「お前の子供の手足をヤクザに頼んで切り落として動画をおくりつけてやる」って常軌を逸してる。

安倍、日本…

RT @tyokokyariko: 『ニート・ニート・ニート』試写。いい加減なヒモ男がヤクザから逃れるため高校の同級生を連れて北海道へ。ダメダメな男をジャニーズJr.の安井謙太郎が仕方ないなと許せるキャラに。笑顔に貧乏神は寄ってこないという言葉に共感。でも人がイラつく言葉は言わ…
寮出るのはいいけど電波ヤクザの対処どうしようかな。
@shiyuki_sabu おまえ絶対ヤクザの息子やん

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