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日本式居酒屋が大人気

韓国メディアは「反日」

 

 

韓国と言えば「反日」が相場である。だが、竹島・慰安婦という微妙な政治的な問題を除けば若者を中心にして、「親日」が多数であることが判明した。意外や意外である。それを証明する材料は二つ。ビッグデータの分析と、この１～２月の訪日観光客数が中国を抜いて１位になったことだ。

 

むろん、韓国には職業的な「反日集団」が存在する。文政権の強力支持母体の市民団体と労働組合だ。この層は、どう見てみ日本を理解しようとはしないグループである。だが、一般の市民は率直に日本の良さを理解しているようだ。これは、日本にとって「大発見」である。

 

これまでも、比喩的に言われてきたことは、「昼は反日、夜が親日」というフレーズだ。

対外的には「反日」を唱えても夜、家庭に帰り食事をするときは日本製のビールを飲んで一日を終える。このパターンから見て、韓国人の全てが我利我利亡者の「反日」でなく、日本の風習、景色、食べ物、文化一般への親近感を持っているという説である

 

日本式居酒屋が大人気

この説を裏付けるように、最近のソウルでは日本式の居酒屋などが相次いで開店している。

 

『中央日報』（４月２日付）は、「近く、安く、おいしい、日本にハマる韓国」と題する記事を掲載した。

 

韓国のインテリはこれまで、日本に対して斜に構えるのが普通である。決して日本を褒めることをしないのだ。「克日」と称して日本を超えることが「美しい復讐」と捉えてきた。この典型的なエッセイは後で取り上げるが、ともかく日本に対峙して退かない。これが、モットーになってきた。メディアでは、日本式を「日式」と言い、天皇を「日王」と呼んできた。極めつけは「日帝」である。日本を非難するときは、この「日帝」によって日本帝国主義の復活を示唆してきた。この言葉に限りない憎悪と復讐の意味を込めてきたのだ。

 

この韓国がいま、首都ソウルで堂々と日本語の「居酒屋」「おでん」などの看板を掲げた飲食店が開業されているという。戦後の厳しい日韓対立を経験してきた日本としては、ただただ驚くほかない。この背景には、韓国の若者を襲っている就職難があろう。玄界灘を越えた日本では１００％、若者は就職できる環境になっている。「花より団子」であろう。就職を保証できない国家の政府よりも、外国の若者にも自由に就職の門戸を開いている日本へ関心を持つのは致し方あるまい。

 

もう一つ、「日本」が韓国の若者に受け入れられている象徴として日本の小説がある。韓国で昨年、最も多く売れた海外作家の小説は、日本の東野圭吾作品である。海外小説部門ベストセラー１０冊のうち、３冊は東野作品だったという。このほか上位には、村上春樹という超人気作家がいる。日本を代表する作家は東野と村上であり、彼らの作品がが韓国の若者の心に深く染みこんでいる。

 

（１）「ソウル鍾路（チョンノ）鍾閣（チョンガク）駅１２番出口と接する路地にはさまざまな酒場やカフェが密集して『若者の街』と呼ばれる。夕方になると次々とネオンが灯る。最近の変化は寿司・居酒屋など日本式の飲食店が増えている点だ。ここから普信閣の方向へ約１００メートルの区間には日本スタイルでない店は数えるほどしかない。４、５階建てのビル全体が日本式飲食店で埋まっているところも１０棟ほどある。日本風の店に看板も日本語だけで書かれていて、東京・新宿の建物をそのまま移した感じだ」

 

「若者の街」とされる繁華街では、約１００メートルの区間で、日本スタイルでない飲食店はわずか。後はほとんどが日本式という。４～５階建てビルの全てが日本式の飲食店で埋まっているのは壮観であろう。韓国の若者は、そこで何を語り合っているのか。多分、日本での就職の話でもしているに違いない。面接の時、「日本式居酒屋に通っている」など、アッピールするのだろうか。韓国では、日本の就職試験においてコミュニケーション能力が高い評点だと紹介されている。まずは、「飲みにケーション」の実践であろう。

 

韓国政府は、日本での就職を支援するため「日本海外就業戦略説明会」が３月２３日、ソウルで開いた。韓国政府雇用労働部と在韓日本大使館が後援したもの。「今回が３回目で、前回の２倍近い約８００人から参加の申し込みがあり、日本就職への関心の高さをうかがわせた」（『聯合ニュース』３月２３日付）。すでに３回の日本への就職説明会が開催され、そのたびに参加者が増えるという人気ぶりである。日本経済がここまで復活して、韓国の若者にとって憧れの就職先になったとはうれしいことだ。

 

（２）「韓国が日本に注目している。玄海灘の向こう側に送った韓流に劣らず、日本列島が韓国ではね返す『日流』が強い。鐘閣をはじめ、ソウル弘大入口・江南（カンナム）・延南洞（ヨンナムドン）の繁華街には日本式の飲食店が多い。ロッテカードによると、日本式に分類されるところは昨年４６９８店舗と、２０１３年（３３４８店舗）に比べ４０％ほど増えた。デシン不動産のイ・ファヒョン代表は、『鍾閣駅周辺の飲食店のうち約２５％は居酒屋など日本式であり、新しく店を出す人の３分の１は日本式飲食店を計画して店舗を探す』と伝えた」

 

日本式の飲食店は、２０１３年に３３４８店舗。それが、昨年は４６９８店舗へと４割も増えているという。これは、ロッテカードの加盟先企業であるから「個人レベル」の零細規模ではないだろう。韓国では、家族経営の飲食店が主流である。その中で、日本式が４年間で４割増というのは、日本への評価が高まっている結果と見られる。

 

大衆レベルでの「反日」が強ければ、日本式飲食店の経営は成り立つはずがない。となると、韓国の「反日」の主体は大衆レベルでなく、職業的は「反日集団」の市民団体や労働組合となろう。
彼らは、文政権の支持層である。よって、文政権は定期的に「反日」を仕掛け、支持層の結束を固める動きをする。

 

（３）「ブログやフェイスブックなどソーシャルメディアでは、日本の食べ物だけでなく旅行・本・職業など、さまざまなテーマのコメントが多い。出版市場も同じだ。日本の家庭料理や日本陶磁器旅行など日本の多様な文化を紹介する本が数多く出版されている。ビッグデータ分析会社ダウムソフトが過去１年間、ブログやツイッターなどソーシャルメディアのコメントを分析した結果、日本に対して否定的なコメント（２７．２％）より、肯定的なコメント（４５．２％）の方がはるかに多かった。慰安婦問題や独島（ドクト、日本名・竹島）問題で韓日両国間の外交関係に依然として『寒冷前線』があるのとは全く違う状況だ」

ブログやフェイスブックなど、ソーシャルメディアに表れたビッグデータの分析では、過去１年間で日本への肯定的なコメントが４５．２％。否定的なコメントの２７．２％。肯定派が大きく上回っている。これは、貴重なデータだ。韓国社会では、「親日」が「反日」を上回っていることが初めて明らかになった。

 

こうなると、例の「少女像」を韓国国内だけでなく、世界中に建てようとする集団は、韓国のごく一部の特殊グループと言える。韓国政府は、この一部集団の動きに翻弄されているのだ。文大統領が、「国民感情が受け入れない」という発言は、事実をねじ曲げている。正確には、「国民のごく一部」に訂正すべきであろう。

 

『中央日報』（４月２日付）は、「ビッグデータを調べると日本は、よい・美しい・行きたいところ」と題する記事を掲載した

 

ソーシャルメディアに表れるビッグデータを、仮に国民の深層心理として見れば、興味深い示唆が得られる。その結果、２０１０年～１７年まで、韓国人の日本への思いはほとんど変わっていないことが読み取れる。日本への「肯定的」印象は４０％台。「否定的」は２０％台で大差ないことだ。「肯定的」な印象の日本に対して、なぜ「否定的」イメージを持つのか。それは過去、日本に虐められた辛い思いが忘れられず、つい悪口を言うのだそうである。

 

日韓併合は７０余年前のこと。それが今なお、語り継がれていることは、学校教育での刷り込み現象であろう。日韓併合は悪であった。韓国の近代化を阻害した、という噓の歴史を教えている結果と思われる。韓国では、江戸末期の「黒船来航」を日本の悲劇として捉えている。現実は、日本近代化の契機になったもので「幸運の女神」でる。このように、外国勢力が開国を迫る行為は、全て「悲劇」と見ているのが韓国だ。極めて保守的な歴史観である。韓国は学校教育において、朝鮮開国＝日韓併合という認識で、全てが悪として教え込んでいる。日韓の歴史観で、根本的に食い違っている点はこれである。

 

（４）「中央日報がダウムソフトに依頼し、２０１０年から最近まで、ツイッター・ブログなどＳＮＳに載せられた日本関連のコメントをビッグデータ分析した。そこで、『日本』というキーワードを入れて感性分析をすると、昨年１年間の計１４３９万件の日本関連文のうち『肯定的』と分析されたコメントが４５．２％（６５０万件）で、『否定的』と分析されたコメント（２７．２％）に比べてはるかに多かった。新聞やテレビの日本関連ニュースでは『慰安婦』『独島（ドクト、日本名・竹島）』『嫌韓』のような否定的なものが主流である点を考えれば意外だ」

 

これまで、韓国メディアが「反日」を煽ってきた面は否定できない。慰安婦・竹島・嫌韓という感情的な単語が、メディアで頻繁に踊ってきたからだ。だが、韓国大衆はそういう言葉に惑わされずに、日本への「肯定的」イメージがＳＮＳで主流を占めていたという。これは、初めて明らかにされた事実で、日韓双方にとって衝撃的であろう。

 

韓国人の５割未満は、ハッキリと人前で発言しないまでも、感性的に「日本が好き」であるようだ。これは、日韓併合時代の日本の統治政策が、韓国インテリが一方的に言いふらすように、朝鮮を搾取対象としたのではないことの証明であろう。日本の財政資金を使ってインフラ投資を行ない、朝鮮を文明国へ引上げる教化対象として扱ってきた。アジアでは香港・シンガポール（以上は英国植民地）、台湾・韓国（以上は日本植民地）の４ヶ国が「中進国のワナ」を脱した国である。中国は、その途上にある。こう見ると、韓国大衆がそれなりに日本を評価していることに気づく。

 

（５）「『肯定的な感性語』は『よい』が最も多く、『好き』『かわいい』『おいしい』『ありがたい』『美しい』『行きたい』などの順だった。一方、『否定的な感性語』は『暴言』が最も多く、『つらい』『泣く』『犯罪』『被害』などだった。日本はよくて、おいしくて、行きたい国ではあるが、過去に韓国に被害を与えたため悪口を言いたい対象ということだ。『日本』との関連語１位は比較の対象とする『韓国』だった。次いで『旅行』『日本旅行』『米国』『大阪』『中国』『東京』『写真』『アルバム』『友人』の順だった。韓日関係のニュースでよく言及される『慰安婦』は１５番目だった」 
 

このパラグラフは、日本人として深く考えさせられる点が含まれている。韓国人の本心では、日本が好きで憧れている。日本のようになりたい。だが、ときおり日本から韓国誹謗（暴言）が聞こえてくる。これは、韓国メディアの「反日キャンペーン」に対する日本の怒りだ。韓国大衆にはそういう事情が分らない。自国が理由もなく非難されていると受け取って、昔の日本の悪口を言いたくなるというのだ。日韓は、互いに「売り言葉に買い言葉」で、非難の応酬をして悪循環に陥っている構図である。この構図から逃れるにはどうするか。韓国が、日韓併合時代の全否定から抜け出して、客観的に評価する科学的態度の構築が前提になろう。

 

（６）「２０１２年、政権５年目の李明博（イ・ミョンバク）大統領が独島を訪問した。その結果、韓日間の感情の溝が本格的に深まった２０１３年当時、ビッグデータ分析は昨年と大差がなかった。計４０３万件のコメントのうち、『肯定的』なコメントが４１．９％（１６８万件）、『否定的』なコメントが３２．２％（１２９万件）である。最近より「肯定的」がやや低く「否定的」がやや高いという程度の差にすぎなかった」

 

日韓関係が悪化した２０１３年のビッグデータ分析によると、「肯定的」な�
��メントが４１．９％、「否定的」コメントは３２．２％である。昨年は、４５．２％対２７．２％である。わずかだが、昨年のほうが日本への「肯定的」コメントが増えて「否定的」コメントが減った。このように、時間はかかるが徐々に、日本への肯定派が増えるのであろう。このように判断する理由は、韓国からの訪日観光客が増えていることだ。

 

韓国メディアはまだ「反日」

『中央日報』（４月１日付）は、「訪日観光客、中国を抜き韓国がトップに」と題する記事を掲載した。

 

（７）「日本政府観光局の発表によると、１～２月に日本を訪れた韓国人は１５１万２１００人で、前年同期比で２３．４％増えた。中国人観光客の１３４万８７００人より多く、この期間に日本を訪問した外国人観光客のうち最多規模だ。１７年は、中国人が７３５万５８００人で訪日外国人観光客１位だった。同年の韓国人は７１４万２００人で前年の５０９万３０２人より４０．３％増加したが総数では中国を下回っていた。韓国人観光客の足が日本に向かっているのは高高度防衛ミサイル（ＴＨＡＡＤ）の韓国配備にともなう中国政府の経済報復のため韓国人が中国の代わりに日本に多く行ったためと分析される」
 

今年１～２月の訪日外国人観光客数では、韓国が中国を抜いて１位になった。この背景については、中国政府による韓国への「ＴＨＡＡＤ」設置の制裁措置への反発が大きく影響したと分析している。中国は最近、ＴＨＡＡＤ制裁を解除すると韓国政府へ言明したので、韓国の訪日旅行の流れが細くなる公算もある。ただ、韓国では感情的にすっきりしないものもあろうから、再び、訪中旅行が増えるかどうかは不明だ。

 

韓国の若者が日本への就職希望が増えていることや、ソウル市内での日本式居酒屋が増えている事情を考えると、基調的に日韓の流れが変わってきた感じが強い。こういう流れを、「日本ブーム」と呼んで良いかは分らないが、日本のイメージが押上げられていることは事実だろう。その主因は、繰り返しになるが若者の日本での就職である。

 

『韓国経済新聞』（１月２５日付）は、「美しい復讐、真の克日の道」と題するコラムを掲載した。筆者は、同紙のイ・ハクヨン論説室長である。

 

このコラムは、韓国インテリの典型的は日本対抗論である。韓国は、日本に対して経済的に負けない実力を蓄え、日本に認めさせることが「真の克日」であると指摘している。日本は加害者であるが、被害者の韓国に対して十分な謝罪もしていない。例の調子の日本非難だ。論説室長ともあろう者が、日韓基本条約（１９６５年）や日韓慰安婦合意（２０１５年）という、法的な措置の真意を理解しない日本非難である。こういうトーンで、韓国メディアは日本批判をしてきた。先のＳＮＳによるビッグデータ分析では、違った角度で日本を受け入れている。その意味で、韓国メディアの論調は大衆からずれてきたのだ。

 

（８）「日本も外国から屈辱を受けた歴史がある。１８５４年に米海軍のペリー提督が率いる艦隊の攻撃を受けて降伏した『黒船事件』だ。朝鮮と違うのは、この屈辱を自強の動力にした点だ。封建制という古い制度から脱して明治維新を断行し、西欧列強の文物を速やかに受け入れる契機として活用した。その結果は短期間にこれらの国に匹敵する強国へと換骨奪胎することにつながった」

 

ペリーの「黒船来航」は日本近代化の狼煙であった。日本が明治維新を行い、新政府による挨拶の公文書を朝鮮李朝に届けたが、朝鮮は「日本の天皇」という言葉に反発して受け取りを拒否。「皇」という字は、清国しか使うべきでないという愚かな理由だった。これが、日本と朝鮮の不幸な出会いの始まりである。李朝は、これほど世界情勢に疎く、その流れはいまも続いている。韓国インテリは、日本の国際的な地位を認めようとしないのだ。

（９）「韓国は、日本の植民地のくびきから脱して６０年以上も慰安婦問題でまともな謝罪も受けられずにいる。この現実は惨憺たるものだ。こうした中、安倍晋三首相は１月２４日、平昌五輪開会式への出席を電撃的に発表し、『韓国政府に慰安婦少女像の撤去を要求する』と宣言した。慰安婦問題が解決されるどころか、北核共同対応など緊急な外交安保懸案までも後まわしにするブラックホールとして浮き彫りになっている」

 

日韓が北の核問題を共同で解決する姿勢があれば、韓国はなぜ解決済みの慰安婦問題を持出してきたのか。問われるべきは、韓国の外交姿勢である。「国民の感情が許さない」という情緒的な発言で、国家間の取り決めを反古にした責任は韓国にある。論説室長が、日韓問題について外交的な視点を欠いた、感情論で扱うべき事柄ではない。国家間の協定遵守は、信用問題に関わる重大事である。感情論を超えるのだ。

（１０）「過去の問題には両国それぞれの国内政治問題まで絡んでいる。速やかな進展を期待しにくい状況だ。こうした時に思い浮かぶのが『真の復讐』だ。壬辰倭乱後（注：１５９２年の秀吉出兵）の朝鮮とは違い、日本の植民残滓を踏んで建国した大韓民国は、少なくない分野で日本と肩を並べたり上回る成果を出した。世界市場で日本企業を圧倒しているサムスン電子とＬＧエレクトロニクスの製品がそうであり、日本の真ん中で注目を集めている飲食品、Ｋ－ＰＯＰ、化粧品など韓流文化商品がそうだ。まだ不足しているが、真の克日の道を確認させる。韓国社会のより多くの分野で日本が認めざるを得ない力を蓄積していくことが強く求められる」

 

世界市場で日本企業を圧倒するサムスン電子の半導体技術は、日本から窃取したものだ。経済ジャーナリストが、知らなかったでは済まされない韓国産業史の汚点である。韓国企業の技術は全て日本企業が供与したものだ。この事実を忘れて「克日」とは、いささか過剰な表現に思える。韓国がノーベル科学賞受賞者を続出したとき、「克日」という言葉に輝きをもたらすであろう。韓国メディアが反日を叫んで対抗するよりも、大衆は日本との「友好」を求めている。この現実を認識すべきだ。勝った、負けたという意識でなく、歴史認識を変えることで韓国は再生する。それが、日韓新時代をつくる基盤になるはずだ。

 

（２０１８年４月９日）

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