秀吉 僕らのおもしろ道案内。

ネタバレ注意。

主人公の名前は｢かな｣です。

 

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（わぁ……何ヶ月ぶりだろう）

信長様と馬を下り、安土城を見上げる。

真っ青に晴れ渡る空に、天主が高くそびえている。

 

信長｢何を呆けた顔をしている｣

｢またここで暮らせることが嬉しくて…｣

戦国時代へとふたたびタイムスリップしてきた私は、ようやく京から安土城へと帰りついた。

（初めてこの城を見た時は、早くここを逃げ出したいって考えてたのに。あれから、すっかり変わってしまった。私自身も、信長様も）

信長｢そろそろ良いだろう。この城なら、この先も飽きるほど見ることになる。貴様は俺と、ここで暮らしていくのだからな｣

｢はい……！｣

顔を見合わせて、笑みを交わす。

さえぎるものがなく高く広がる空と同じで、心が晴れ渡っていた。

 

信長｢ん……？｣

城門を見て、信長様が肩をすくめる。

信長｢総出で出迎えとは、仰々しい者どもだ｣

（え？）

信長様の視線を追って、私は目を見開いた。

こっちを見て笑っているのは、政宗さんと光秀さん。

家康さんと三成くんの姿もある。

秀吉さんは待ちきれないと言いたげに、大きく手を振ってくれている。

（皆に会うのも、本当に久しぶり…）

｢信長様、早く行きましょう！｣

信長｢……｣

はやる気持ちのままに、私は皆の方へと駆けだした。

信長｢まったく、喜びすぎだ、貴様は｣

信長様の声を背中で聞きながら、皆のそばへ走り寄る。

｢皆さん、お久しぶりです！｣

 

秀吉｢かな…！｣

（わ……！？）

秀吉さんが腕を広げて、私を正面から強く抱きすくめた。

秀吉｢まったく、お前は…っ。どれだけ心配したと思ってる｣

｢ご、ごめんなさい……っ｣

秀吉｢謝って済むか！もう二度といなくなるなよ｣

政宗｢おいおい、いいのか、秀吉？信長様の御前だぞ｣

秀吉｢っ…非常事態だ。許していただく｣

政宗｢ああ、そうか。じゃ、俺も乗った｣

（え……っ？）

政宗さんも背中から、がばっと私を抱き締める。

政宗｢元気そうだな。良く戻ってきた｣

｢は、はい…っ。ご心配おかけしました｣

（でも、さすがにこの体勢は……っ）

困って目を泳がせると、光秀さんと視線が合った。

光秀｢俺に助けを求めても無駄だぞ。言って聞く奴らじゃないんでな｣

｢なんですぐ人の考えを読むんですか…っ｣

光秀｢お前はわかりやすいからな｣

意地悪に笑って歩み寄ると、光秀さんが私の頭をぽんぽん撫で、顔を近づけた。

光秀｢まあ一応、お帰りと言ってやろう｣

｢あ……ありがとうございます｣

 

三成｢せっかくですので、私も参加させてください｣

（っ…三成くんまで！？）

手をそっと握って、三成くんがそばで天使のような笑みを浮かべた。

三成｢お帰りなさい、かな様。お戻りをお待ちしていました｣

｢う、うん…。私も皆に会いたかったよ｣

家康｢呆れた…。何やってんですか、あんたたち｣

（家康さん……）

政宗｢遠慮してないでお前も来いよ｣

家康｢えっ、ちょ……っ｣

｢わっ！？｣

政宗さんに強引に肩を抱き寄せられ、家康さんの顔が間近に迫る。

家康｢っ…｣

｢あっ、ええっと……ただいま帰りました｣

家康｢…………うん。お帰り｣

 

信長｢――…貴様ら、いい加減にしろ｣

家康･三成｢……！｣

信長様が呆れ顔で、そばへと歩み寄ってきた。

皆が腕を解いてわらわらと離れていき、ようやく息をつく。

（ふう、びっくりした……でも、こんなに歓迎してもらえて、本当に嬉しい）

 

光秀｢これはこれは御館様。お帰りなさいませ｣

政宗｢そう怖い顔はしないでください。今日くらい見逃してくれてもいいでしょう｣

信長｢今日だけで済めば良いのだがな｣

秀吉｢申し訳ありません。差し出がましい真似をしました｣

秀吉さんが険しい顔で、信長様に頭を下げる。

信長｢真剣に謝るな、秀吉。それとも、かなに下心でもあるのか？｣

秀吉｢っ……｣

（なに言ってるの、信長様…？）

秀吉さんは一瞬、困ったような表情を浮かべたあと、私に目を向け、どこか切なげに笑った。

秀吉｢――…いいえ。かなを幸せにできるのは、信長様だけだとわかっています。俺は、それを見守りたいだけです｣

（秀吉さん……）

信長｢貴様も貴様だ、かな｣

｢え？きゃ……っ｣

信長様のたくましい腕が、私を問答無用で横抱きにする。

愉しげな笑みが間近に迫って、鼓動がとくっと跳ね上がった。

信長｢貴様の『かれし』はこの俺だ。よって、貴様に触れて良いのも俺だけだ｣

｢……はい｣

（恥ずかしいけど、このままでいたい）

 

微笑んで頷き返すと、政宗さんが口笛を吹くのが聞こえた。

政宗｢まったく、見せつけてくれますね｣

家康｢見てらんないんですけど｣

三成｢仲が良いことは良いことじゃないですか｣

光秀｢にしても、ここで立ち話というのも芸がない。そろそろ始めるぞ｣

｢始めるって、何をですか？｣

秀吉｢かなの帰還祝いだ。宴の支度が整ってる｣

（そんな準備までしてくれてたの……？）

皆の笑顔を見回して、胸がいっぱいになった。

信長｢では行くか、かな。この先はこの城が、俺と貴様の終の棲家だ｣

｢はい…！｣

私は深く頷いて、信長様の首にぎゅっと抱きついた。

 

 

（あれ……？）

翌日、目を覚ますともう太陽が昇りきっていた。

（寝過ごしちゃった。昨日、遅くまで宴が続いたしな…）

 

宴のあとは、真っすぐここへ連れて来られて、夜が白むまで信長様に抱かれた。

たくさん口づけをして、絡まるように抱き合って……気づけば、寝入っていたらしい。

（信長様も……まだ眠ってる。いつもは早起きなのに）

私と同じ布団で、信長様は心地よさそうに静かな寝息を立てている。

隣で、大好きな人が安心しきって眠っている…それだけのことが、こんなにもかけがえがないことだなんて知らなかった。

（嘘みたいに、幸せだな）

溢れた涙を指先で拭って、信長様を起こさないよう、そっと布団から抜け出す。

 

着替えたあと、私は天主の欄干に手をかけ、安土の町を見渡した。

（綺麗だな。今日も、良い天気……）

信長｢……何を勝手にいなくなっている｣

｢わっ…？｣

背中から抱きしめら�
�て、振り返る。

（信長様、目が覚めたんだ…）

｢すみません、起こしましたか？｣

信長｢ああ。貴様がおらん布団など、寒々しくて適わん｣

｢それで、起きたんですか？｣

不満げな言葉なのに、胸をくすぐられて、嬉しくなる。

信長｢笑いごろではない。この俺を放って、何をしていた｣

｢安土の景色を見ていました。改めて……私はここで、生きていくんだなって思いながら｣

背中から、信長様が私の顔を覗き込む。

信長｢貴様がいた世が、恋しいか？｣

 

-選択肢-

もし恋しいと答えたら…　◎

 

｢もし恋しいと答えたら、信長様は私を手離すんですか？｣

信長｢――…いや。貴様の気を、すぐさま変えさせるまでだ｣

信長様の口元に、自信に満ちた笑みが浮かぶ。

 

信長｢一度は、貴様をみずから手離そうとした。このような俺が手に入れて　それでも貴様は、自分で俺の元へ飛び込んできた｣

低く深い声で囁きながら、信長様の指が、私の髪を優しく梳く。

 

信長｢天に引き離されても尚、時をかけて、俺のもとへと帰ってきた。だから……二度と迷わん。貴様は生涯、俺の唯一の女だ｣

｢信長様……｣

間近で見つめ合い、胸がざわめいた。

（幸せで、おかしくなりそう。きっとこの先も毎日、どきどきしっぱなしだろうな）

信長｢ともかくだ。いかなる理由だろうと、俺を置いて布団を抜け出すなど今後は許さん｣

｢ふふ、ごめんなさい。もうしません｣

わがままが嬉しくて、笑みがこぼれる。

すると、信長様の指先が、私の襟にかけられた。

信長｢反省の色が見えんな。仕置きをしてやる｣

（仕置きって……っ？）

｢あ……っ｣

 

首筋が、昼の陽ざしにさらされる。

すぐさま熱い唇が、私の肌にやんわり触れた。

｢ん……っ｣

信長｢昨夜も散々、貴様を奪ったが…もう一度だ。貴様が、抱き足りない｣

｢え……っ？｣

信長｢この先ずっと、何度抱こうが貴様が足りん。生涯をかかえても、俺は貴様を愛し足りない｣

（信長様……っ）

信長様の声は少しだけ掠れていて、私の胸をざわめかせていく。

信長｢貴様の生涯をかけて、俺に愛され続けろ、かな｣

｢っ……はい｣

高圧的な物言いは相変わらずだけれど…抱きしめる腕も、触れる唇も、この上なく優しい。

（何をされても、何を言われても、嬉しくなる）

やんわりと歯を立てられて、あっけなく身体の芯が蕩けだした。

 

｢信長、様……｣

貴様｢何だ、文句なら聞かんぞ｣

｢違います…っ。私も、あなたに触れて欲しくなりました｣

信長｢……｣

｢私だって、いつでもあなたが足りません…｣

信長｢では、容赦しない｣

私の顎をすくい上げ、信長様が唇を塞いだ。

はかない水音が、昼の陽ざしに響くけれど…

｢んん……っ、は…ぁ…｣

（恥ずかしい、のに……もっとって、思ってしまう）

信長様の首を抱き締め返して、どこまでも口づけに溺れていく。

（私……本当に、とんでもない方に恋しちゃったな）

 

歴史上の偉人だからとか、血も涙もない魔王だとか…そんなのはもう関係なくて、命を投げ打っても、身体ごと差し出しても、時さえ駆け抜けても…それでもそばにいたい人なんて、世界中のどこにも、どんな時代にも、この方以外いない。

（この気持ちはきっと、いつまでも終わらない。この方が愛おしくて……私はいつまでも、この方に焦がれる）

降り注ぐ日差しの中で私達は、狂おしく求め合って…二度と手離せない至福の想いを、分かち合った。

 

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ひ、ひ、秀吉さーーーん！！！涙

切ない…切なすぎる…全然気づいてねえ主人公…しんどいな、頑張ろうな秀吉！！(肩組みながら)

もうさ、全員で待ってるってなに？

安土勢まじでガチでかわいすぎない？

政宗のじゃー俺も！ってノリも可愛い！拍手！だし、

光秀さんのひねくれた言い方も可愛い！拍手！だし、

三成くんのおててぎゅっも可愛い！拍手！だし、

いえや、いえ、いえやすうううううううああああああああ！！！！！！！！可愛い可愛い可愛い(号泣)

 

起きたら隣にいない！ヤダ！の信長たんも可愛い。

安土全体的にしんどい。

明日秘密ENDいったら全武将一周するので、また一番始めの幸村に戻ろうと思ってたんですけど

FVでのストチケ消化があるのですでに共通√を文字起こししてある武将(つまり幸村以外)で

かつちょっと確認したいことがあるという意味で次は家康たんに行きまーす！

 

 

大河ドラマの視聴率低下が叫ばれて久しいですが、歴史系の新書は見ていると結構大河ドラマに擦り寄った内容のものが時期に合わせて出版されていますね。ほぼ戦国時代と幕末の繰り返しでも、何らかの興味のきっかけにはなるのでしょうか。

再来年は明智光秀だそうですが、本書はそれよりだいぶ早い時期の出版なのでこれを「擦り寄った」と言っては気の毒かもしれません。

 

歴史上の登場人物はとかくステレオタイプなイメージで描かれやすいですが、本書では明智光秀の実際の人物像を客観的な史料に基づいて再構築しています。

本書によると光秀は比叡山攻めに積極的で、その後の坂本城を起点とした商業利権の確保に謀略も厭わず力を注ぎ、一時は「近畿管領」と称されるほど信長配下一の勢力を謳歌しましたが、追い上げる秀吉との激しいつばぜり合いの末、信長に仕えていた奥向きの女官だった光秀の妹が死去し後ろ盾を失ったことも影響して、秀吉に機先を制されてしまいます。その後は御存知の通りです。

 

鉄砲戦を得意としていた光秀は天王山の戦いで狭隘地に誘い込み長篠の戦いの再現をもくろみますが、連日の雨天で効力を失います。細川藤孝など与力大名がほとんど味方に付かなかったことと、こうしたツキに見放されたことが敗因と言えるのでしょうか。

また連歌の会で「時はいま 雨のしたしる…」と詠んだのは有名ですが、その後の続きの句にも光秀の恨みつらみが垣間見えると指摘しています。ややこじつけがましい気もしましたが、歌に気持ちを投影すること自体が言葉遊びでこじつけがましいので、案外的を射ているのでしょうか。

 

通信や日記など細かな史料を繋ぎ合わせて、実際の人物像が浮かび上がってくる楽しさを教えてくれる一冊です。

どうもです(´・д・｀)

不倫恋愛カウンセラーの七緒留衣です＾＾